過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.9
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108:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[sage saga]
2011/03/28(月) 23:04:13.76 ID:gqKd6v2y0

「な、なあ黒猫。俺にもその唐揚げくれないか?さっき食べた時美味しかったからさ。もう一個だけ欲しいんだけど…ダメ?」
「ええ…。別に構わないわ。それじゃあ貴方の分を残しておいてあげ――」

黒猫はそこまで言いかけてようやくこっちを見た。
そして動きを止めた。
そう、横目で隣をチラ見しながら口をパクパクさせて待機している俺に気付いたのだ。


…ふっ。どうよ?これが俺の秘策だ!
我ながら、さっきの腹押さえた黒猫並にわかりやすいジェスチャーだろ?
俺だってまさか直球で『ア〜ン♪してくれ!』とは言えんさ。
でも、これならさすがの黒猫も空気を読ん………で……………あれ?


「――な、何なの?その呆けた面構えは…?自分で鏡をよく見て御覧なさいな…。」

…って、こいつ明らかに不審がってるじゃねえかよ!!!ソッコー目逸らされたぞ!?
何でだ!?確かに100歩譲って怪しい行動なのは認めるが…こんなにもわかりやすいジェスチャーじゃないか!!!
何故俺の気持ちに気付いてくれないんだよ黒猫ォォォ!!!!!


その黒猫はいうと、どんよりと俯く俺の方をいかにも怪訝そうな目つきで見つめている。

「とにかく、見ているこっちが恥ずかしいわ。即刻その間抜け面を引っ込めて。」
「すいません……」
「ど、どうしてそんなに落ち込んでいるのよ!?」
「いや、別に…」

これにて作戦終了だな…。俺の小さな野望は儚く散ったというわけだ。
やっぱ無理だったか…。ちょっと高望みし過ぎちまったな…。
まあでもね!弁当作ってきてもらえただけでも大きな一歩だしね!続きはまた今度………

俺は気をとりなおして、弁当箱を受け取ろうとゆっくり顔を上げた。


しかし、“奇跡”というものは突然起こるものである。


俺は、黒猫がやけにそわそわしているのに気がついた。
今度はこいつが俺の方をチラチラ見ながら挙動不審になっている。明らかにこっちの様子を気にしている感じだ。
そして、意を決したように俺の方に箸でつまんだ唐揚げを向け……………

「…そ、そんなに落ち込んでいる暇があるんだったら………さっさと口を開いて頂戴っ。
…いつまで経っても………た、食べさせられないでしょう?」


こ、こいつ…もしかして、最初からア〜ン♪してくれるつもりで………

俺の心は、驚きと感動のあまり思わず大爆発を起こした。

「く、く………くろねこォォォォォォォォォォ!!!!!!!!!!」
「なっ…!?!ば、場所を考えて頂戴!!そんなに大声で叫んで……はっ、恥を知りなさい、恥を!!!」
「痛っ!」

唐揚げと一緒に、羞恥で紅に染まった夜魔の女王からそこそこ威力のあるビンタを食らってしまったが、この時の俺は心底幸せだった。





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