過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.9
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109:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[sage saga]
2011/03/28(月) 23:06:10.72 ID:gqKd6v2y0

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たった今、俺は愛妻弁当の最後に残っていたタコウインナーを飲み込んだところだ。

「――ごちそうさま。すげえ美味かったし、お前の手料理食べられて嬉しかったよ。ホントにありがとな。」
「大袈裟なんだから…。別に大したことではないわ。
でも………貴方をそんなに満足させられたのなら、こちらとしても用意した甲斐があったというものね。」

俺が心からの謝礼をすると、黒猫はフフッと笑って嬉しそうにこっちを見た。
その表情はとても穏やかで、さっきこの女の子にビンタされたなんて信じられないくらいだ。

ちなみにあの後は、真っ赤になって暴走する黒猫を何とかなだめ、《弁当箱交換制》を復活させて無難に弁当を二人で分けた。
それに伴い、さっきの逆バージョンである俺の幻の台詞・「黒猫。口…開けろよ。」はカットされてしまったわけだが。
ちょっと残念な気もしたけど、そうでもしねえとあの時の黒猫は弁当食うどころじゃなかったし…。
…とは言っても無言で食べてたわけじゃなく、今度はちゃんと料理を褒めるのも忘れなかったぜ!
黒猫には軽く受け流されたけど。
もっとも、俺はアイツの口元が緩んでいるのを見逃さなかったがな。いつも通り素直じゃないけど可愛いヤツだ。



「…そういえばさ、どうして今日は弁当作ってきてくれたんだ?今日は何かの記念日とかじゃない…よな?」
「ええ。今日は別に何の記念日でもないわ。」

その言葉を聞いて、俺はホッと溜息をついた。
実は密かに気になってたんだよ。“付き合ってから○日経った記念”とかだったらどうしよう、ってさ。
こっちからは何の贈り物も用意してないしな…。

「何なのかしら?そのいかにも安堵したような表情は…。…それと、“常闇の匣(ハコ)”を渡した理由ならさっきも言ったはずよ。
これは夜の住人となった貴方を光から守護するために――」
「いや、そうじゃなくてだな…俺たちの世界っつーか仮の世界っつーか……現世?人間界での理由?
え〜と、とにかく、普通の理由を教えてくれないか?」
「それは………」

ここで黒猫は、またさっきみたいに言葉を詰まらせた。
嫌な予感がするぜ…。まさか、暗黒理論再来か?俺はちゃんと“普通の理由”って言ったはずなんだけど…。
しかし、今度の黒猫はどっちかというと、『考えている』というより『言おうかどうか迷っている』ようにも見える。
発表するのを拒むくらいの“普通の理由”って何なんだろうか………?

「それは……………」

言いよどめば言いよどむほど、黒猫の声はどんどん小さくなっていく。そしてそれに比例して、顔もどんどん赤くなっていく。
そして最終的には、さっきのタコウインナーくらい赤くなって俯きながら、蚊の泣くような声で言った。

「…貴方に……会いに行くためよ………」

「…えっ?」


俺に……会いに行くため?どういう意味だ?


核の部分を口に出してしまって勢いがついたのか、黒猫は軽く赤面しながらも続けた。

「何よ?それが理由では不服だとでも!?」
「いやっ、別にそういうわけじゃないけど……それと弁当作ってきてくれたことに何の関係があるんだ?」
「相変わらず察しが悪いわね…。も、もし私が、貴方の昼食を作って持って行けば…こうして渡す時に会うことが出来るでしょう?」

『こんなことを私に言わせないで頂戴』とばかりに、黒猫はジト目でこっちを睨んだ。

鈍感で悪かったな!
でも、いきなりそんなこと言われたってよ……………




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