過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.9
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184:149 ◆NAZC84MvIo[sage sage]
2011/03/30(水) 11:54:14.64 ID:3FAuO/Vu0
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「「もう心配しなくていいからさ」」
「「うん、だからお前/あんたもちゃんと幸せにならなきゃ」」
「「うん・・・うん・・・それじゃ、またな/またね」」

ふたり揃って電話を切った。
おそらくこれでこの奇妙な電話の中継も最後だろう。
隣の桐乃と目を合わせてふっと笑みをこぼす――

「さぁ!これからどうなるかな?」
「んー、どうにかなるっしょ」


一人きりの俺が電話をかければ、ここの桐乃が出て
ここの俺が一人きりの桐乃にかける

一人きりの桐乃がかければ、ここの俺が出て
ここの桐乃が二人いる所の俺にかける

そして二人いる所の桐乃がかければ、ここの俺が出て
ここの桐乃が一人きりの俺にかける

「二人揃ってる所のあんたは、結局一度も自分からかけなかったね」
「やっぱ目の前に本人が居たらからじゃねーの?」
「ふふっ、やっぱ筋金入りのシスコンじゃん」
「ほっとけ!」

ここは平行世界の狭間――?
いや、ここも俺たちが今眺めている3つの世界と同じく、無数にある世界の1つかもしれない。
あの事故以来、俺と桐乃はここでこの3つの世界を眺めていた。
―――この不思議な電話だけがある世界で


「もう、お役御免でいいんじゃない?あたし達もそろそろ次の行き先決めなきゃね」
「そうだよな、でもどこに行くんだ?」
「アンタは決まってるでしょ」
ビシッ!と桐乃が指したのは一人きりの桐乃のお腹――

「へっ!?マジかよ!?」
「そうよ!『またな』って言ったでしょ?会いに行かなくてどうすんの?」
「いや、しかしそれは・・・・・」
「多少のマザコンは大目に見てあげるからさ、アンタはあそこで決まり!これは決定!」
「ちょっ、なんかせこくね?なんでお前が決めるんだよ!!」
「だってあたしの行き先はあんたが決めるんだからこのくらい当然でしょ?」
「どういう意味だよ!?」
「黒いの?でかいの?あやせ?地味子?それともまさか加奈子?」
「・・・・・・・・・・」
「あんたが選んだ相手の中に行かなきゃ会えないじゃん」
「そういう意味かよ・・・」

でもまぁ、俺もそうしてくれた方が嬉しいしな。

「ファザコン娘になるぞ?」
「別にいいじゃん、それよりアンタは誰を選ぶの?」
「今の俺じゃお前以外の選択肢の可能性は平等だからな、正直全くわかんねー」
「はあ、あんまりぐずぐずしてられないのに・・・」
「ま、もう少し待っててくれよ」

二人して自分たちの行く末を見守る――
あの二人は出会うことは無いけれど、あの二人のもとに俺たちが行く事は出来る。
そうすればまた“俺たち”は会える。

「楽しみだね」
「楽しみだな」






二十数年後、仲良し兄妹のもとに生まれたマザコン一人息子とファザコン一人娘が
従兄弟同士でどたばたの恋愛劇を演じるのは、また1つ隣の世界のお話。―fin―


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