過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.9
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257: ◆lI.F30NTlM[sage saga]
2011/04/02(土) 01:15:32.15 ID:i1LYuYF3o
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「……………………」
「どうかしら?」

俺は今、自室で小説を読んでいた。隣には、小説の執筆者である黒猫がいる。
今回はオリジナルということらしいが……正直に言おう。黒猫らしくない。
かつてのマスケラの二次創作のように、膨大な設定は無く、分量も多くは無い。
内容はお粗末で、出来の悪い少年マンガを読まされているような気分だ。まるで、黒猫ではない誰かが戯れに書いたような……。

「なんつーか、お前らしくない内容だったな」
「やはり、そう思うかしら?」

やはり?やはりとは、どういう意味だ?
俺の表情からそれを感じ取った黒猫は、一応説明してくれた。

「ふと書き始めたものなのだけれど、書き終わって読み返したら、私らしさを全く感じなかったのよ」
「でもよ、お前が書いたんだろ、これ?」
「それはそうなのだけれど、不思議と『私が書いた』という実感が無いの」
「なんだそりゃ?」

黒猫は、自分のことなのにまるで他人のことを話すような口振りだった。
実に妙な話だが、俺はなぜか納得していた。

「そうかい。で、これどうすんの?」
「こんな駄作、残しておくことすら恥というものよ。データも完全に削除するわ」
「そっか。それなら、なんでそんな恥ずかしいものを、俺に見せてくれたんだ?」
「客観的な意見が欲しかったのよ」

黒猫はふぅと溜息を吐き、さらに続けた。

「私自身、『私らしくない』と感じたけれど、他の人から見たらそうでもないかもしれないじゃない」
「ふぅん。じゃあ、もし俺が『お前らしいな』って言ってたら、これをどうする気だったの?」
「これを参考に、私の悪い部分を洗い出そうと思ったのよ」
「なるほど」

これを反面教師にして、次を書こうとしてたのか。
相変わらず、好きなことには熱心なヤツだ。

「でも、その心配は無かったみたいね」

黒猫は俺に密着し、PCを操作し始めた。

「お、おい……」
「すぐ終わるわ」

ポインターを操作し、データファイルの一つをクリック。
そこでShift+Deleteキーを押す。『ファイルの削除と確認』というウィンドウが立ち上がり、黒猫は迷わず『はい』を選択した。
1秒も経たずに、問題の文書ファイルは削除された。



おわり


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