過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.9
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長野県)
[sage]
2011/04/11(月) 21:00:48.42 ID:PwsM2k6to
☆
「ぐすっ……、あ〜ぁ、お化粧ぐちゃぐちゃになっちゃった……」
──どれ程の時間が経っただろう。
ようやく涙泉を枯渇させた私たちは、ひっそりと並んでベンチに腰を落ち着けていた。
「……ぐす……、本当、酷い顔ね。瞼が腫れて、そのマル顔が更に丸くなっているわよ」
「あんたって……ホント口が減らないよね……っ。じっ、自分だってっ、目真っ赤じゃんっ」
「ふ、ふん。こ、これは闇の眷属特有の邪眼の色よ。何処に目を付けているの」
そのやり取りも相変わらず。
今にしてみれば、こんな私たちの関係も、それ程悪くはなかったように思う。
ただ、それも全ては捨て去るべき過去となるわけだけれど……。
「はぁ、それにしても周りに人がいなくて良かったぁ……こんな顔、人に見せられないって……。ケド、あんたで二人目かな、見られたの」
「……それは奇遇ね。私も……あなたで二人目になるわ」
恐らくだけれど、あの女の言う『一人目』と、私にとっての『一人目』は、同一人物なのではないかしら。
今以て近くには居ても、今となっては遥かに遠い存在となった、あの人。
「そっか。……あたしたちって、実は結構似たもの同士なのかも」
自嘲するような、あの女の台詞。どうやら、あちらも同じ解釈に至ったようだった。
……そうね、性格も嗜好も正反対なのに、私たちは相手の考えていることが何となく理解出来てしまう。
案外、無意識のレベルでは似通っているのかも知れないわね……。認める気など、更々ないけれど。
「ふん……冗談じゃないわ。あなたみたいなスイーツ(笑)と一緒にしないで頂戴」
「あたしだってあんたみたいな邪気眼電波と一緒にされたくないってのっ。……でもさ、何となく分かっちゃうんだよね。あんたの考えてるコト」
「フッ、戯言を言うわね? 人間風情にこの私の“深層心理《アカシックレコード》”が読み取れるとでも思っているのかしら」
「あんたさ、……このままいくと、今後あいつとの関わりを一切断つ気じゃないの? 勿論、その『関わり』の中に、このあたしを含めて」
────。
……何も言えなかった。
言える筈もない。……正にその通りのことを、先程からずっと考えていたのだから。
……この女……、まさか本当に私の深層意識を見透かしているとでもいうの──
「やっぱりね。どうせそれがケジメだとか清算だとか言うんだろうケド、そんなのこのあたしが許すと思ってんの?」
「……余計なお世話よ。別に私がどうしようと、あなたにとやかく言われる筋合いは──」
「許さないって言ってんでしょッ!!」
空気が、震えた。
霹靂のようなその一声と共に、その双眸は私を捉え、睨みつける。
先程とは違う理由で、何も言えなくなってしまう。……なんて、迫力……こ、怖いじゃないの……。
「筋合いとか、あんたがどう思おうが関係ない! あたしはこれ以上、もう何も手放すつもり無いから! 『二人目』まで、諦めるつもり無いから!!」
それは、絶対に揺るがない決意を秘めた喚声。
『一人目』は失ってしまったけれど、これ以上は決して譲らないという堅牢な意思を感じさせるに十分なものだった。
「……ま、全く……相も変わらず、我侭な女ね」
気圧されつつも、精一杯平静を装って言葉を返す。
初対面の頃を彷彿とさせるあの女の眼力には正直腰が引けるけれど、ここは臆して引き下がるわけにはいかない。
「このあたしが言い出したら聞かないってコト、あんたなら十分分かってる筈だよね」
「ええ、厭という程ね」
確かに、あなたの傍若無人っぷりはこれまで散々思い知らされているわ。
それでも、今回ばかりはこの私にだって意地があるのよ。
──どうやら、この女には現実というものをはっきりと突き付けてやる必要があるようね。
「でも、所詮女の友情なんて虚構に過ぎないわ。あなたの大事なお兄さんを寝取ったのは、あなたの親友ではなかったかしら?」
「うっ……、あ、あやせは別に、あたしを裏切ったワケじゃ……」
「結果的には同じ事よ。……あなただって、他に好きな男が出来たら、私のことなんか忘れて夢中になるのでしょう?」
そうよ。今回のことで思い知ったわ。
依存した分だけ、それを喪失したときに生じる空虚は、悲嘆と絶望の刃と化し、自らの心を抉り取る。
そんな思いを味わうのは、金輪際御免蒙るわ。もう二度と……こんな気持ちになる位なら──
「……あたしはっ……、もう……他の男なんか絶対好きにならないっ」
「今はそう言えるでしょうね。でも、それが生涯変わらない保証があるのかしら。あなたに恋人が居ないとなれば、周りが放っておかないでしょう」
……所詮、あなたと私では生きる世界が違うのよ。
あなたは光の当たる世界で華々しく生きていけばいい。それだけの美貌も、才能もあるのだから。
そして私には静謐たる闇の世界こそ相応しい。そう、煩わしい俗世との関わりなど無用の、以前の孤高な私に戻るだけ……。
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