過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.9
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685: ◆lI.F30NTlM[sage saga]
2011/04/27(水) 02:04:07.71 ID:nM3F6G8yo
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そして次の日曜。
俺、桐乃、黒猫は都内某所にある研究機関にやってきた。
門前にある警備員の詰め所に氏名を伝えると、程無くして厳めしいゲートが開かれ、中へ通された。
訪問者のための待合室に通され、しばらく待つように言われた俺達は、備え付けのソファに座り、思い思いに時間を潰し始めた。
それから二分ほどして、清楚なワンピースを纏った美女と研究員らしき白衣の男性がやってきた。

「皆様、よくお出でくださいました」
「ま、友達の頼みだからな。無下にはできねえよ」
「そうそう。それに、なんか面白そうだしね」
「人間如きの力を見るには、いい機会だっただけよ」

言葉は違えど、俺達が言いたいことは同じだ。要は、「気にするな」と言いたいだけである。
沙織は柔らかな笑みを浮かべながら、俺達に静かに頭を下げた。
それから、一緒にやってきた研究員に指示を出し、今日行う実験の説明を始めた。
前回集まったときにも大まかなことは説明されたが、今回は専門家による詳しい説明だ。
インフォームド・コンセントというものらしく、俺達はこの説明を聞いた上で、この実験への参加を決められるらしい。
つまり、拒否することも可能だということだ。

これから行う実験は、沙織が言っていたとおり「『夢』の記録」をするというものだ。
被験者は、睡眠に入る前に記録に必要な器具(ヘッドギアみたいなもの)を装着し、三時間ほど眠る。
その器具を使い、レム睡眠中に発する脳波から夢の内容を映像化し、外部記憶装置に記録するらしい。
すでに5,000人ほど実験に参加してもらい、これまで事故は起きていないので比較的危険性は低いと説明された。

大体はこんな感じだ。沙織から聞いていたのと大差はない。
あとは、この器具にはアメリカのなんとか大学で研究されているVR(Visual Rebuilding)技術が使われてるだの、
ゆくゆくは遷延性意識障害(俗にいう植物状態)の患者の治療に使うだのという説明もあったが、専門的過ぎる上に興味がないのでほとんど覚えていない。
研究員による説明が終わると、俺達に一枚の書類が手渡された。実験参加への同意書である。
参加に当たって、色々と誓約事項があるのだ。
普通だったら「事故が起こってもこちらは責任を取りませんよ」なんて書かれたりするものだが、この同意書には書かれていなかった。
逆に「事故が起こった場合は、いかなる賠償にも応じます」なんて書かれてやがる。余程、安全性に自信があるのかね。
あとは、この実験に関する出来事をいかなる企業にも口外しないこと、なんてことが書かれてるくらいだ。
これは技術流失を防ぐための措置だろうな。と言っても、俺達のような学生にはあまり関係ないように思えるが。
俺は同意書に名前を記入し、用意された朱肉を親指に塗って判を押した。隣を見ると、桐乃と黒猫も同じようにサインし、判を押していた。

「実験へのご協力、感謝します。係りの者が来るまで、しばらくお待ちください」

研究員のおっさんは俺達がサインした同意書を集めると、部屋を後にした。

「急なお願いで申し訳ありませんでした。今回の実験、父からわたくしの友人にも参加してもらえないかどうか聞いてくるように頼まれたもので……」
「沙織が気にすることじゃねえよ。それに、こう言っちゃあなんだが……ちょっとだけ楽しみなんだよな」
「楽しみ……ですか?」
「おう。だってよ、普通はすぐに忘れちまう『夢』の内容が見れるんだぜ。考えただけでワクワクしねえか?」

俺の話しぶりがおかしかったのか、沙織は柔らかく微笑んだ。いつもとは違うお嬢様モードだから、不覚にもドキッとしちまったのはここだけの秘密だ。
研究員のおっさんが出て行ってから十分後、違う研究員の人が部屋にやって来て、俺達を案内してくれた。


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