過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.9
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887: ◆Neko./AmS6[sage saga]
2011/05/03(火) 20:30:00.56 ID:fK0gY2ago

こんな筈じゃなかった。俺なりに頑張ってきたつもりだった。
夫として、家族の一員として精一杯尽くしてきたというのに……。

俺はテーブルに置かれた用紙を見つめながら、緊張と屈辱感に震えていた。
用紙には、はっきりと離婚届と印刷されている。
ご丁寧なことに必要事項は既に記入済みだし、妻の欄には捺印までしてある。
あとは俺が夫の欄に自分の名前と住所を記入し、最後に判を押すだけだ。
只それだけで、こんな紙切れ一枚で、俺とあいつの結婚生活に終止符が打たれる。

「……お義母さん……どうしても、別れなきゃいけないんでしょうか?」
「京介さん、私も主人も、よくよく考えてのことなの……
 あなたと娘には、このさい別れて、人生をやり直す方が一番良いと思うのよ。
 あなたたちはまだ若いのだし、幸いなことに子供もいないのだから……そうではなくて?」

あいつの実家から呼び出された時点で、話というのが何なのか大方の予想はついていた。
しかし、予想していたとはいえ、こうして目の前に離婚届を突き付けられると……。
俺に甲斐性がないことは、俺自身が一番分かっていた。
それでもあいつは俺の愛を受け入れ、俺と結婚してくれた筈なのに。
すべてはお義母さんの差し金で、あいつだって離婚までは考えてなかったんじゃ……

「京介さんが納得できないというのは、私もそれなりに分かってはいるつもりよ。
 でもね、今回のことは……離婚の件は、娘のあやせから言い出したことなの。
 夫婦の間のことだから、他人がとやかく言うことではないけれど……
 娘が不幸になると分かっているのに、親としてそれを見過ごすわけにはいかないわ。
 それにあなたにも、あやせの夫としての責任があったのではないかしら?」

俺はあやせの両親に対して、まったく頭が上がらなかった。
今から三年前のこと、俺は大学の卒業をまじかに控えても就職先が決まらず、
当時あやせと交際していた俺を気遣って、彼女の親父さんが世話を焼いてくれたんだ。
あやせの親父さんは地元の議員で顔も広く、各方面にもそれなりのツテがあった。


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