100:>>1[saga]
2011/04/17(日) 23:01:32.02 ID:Bd6jhPdD0
また、あした。――彼らの場合――
「これからどうなるのかしらね」
何のことだ。と言ったら怒られそうな気がするので黙っておく。俺が鈍いのか彼女が短気なのかは知らないが、恐らく両方だと思う。
絵本部の打ち上げも終り、俺と春野、秋川と冬森はそれぞれ分かれて反対方向に進みだした。これは何も俺の考えではない。
春野が言い出したことなのだ。いらんお節介じゃあないかと言っても意味が無いので黙っておいたが。
それにしても何でそこまで他人の恋路に口を出すのが好きなのかね。最も、最初は俺も面白がっていたのは否定できない。
「なるようになる。それで、俺を巻き込んでまでの用事って何なんだ」
そう、春野は秋川らと別れる口実に俺が必要な用事とやらを作って別れたのだ。
単にあいつらを二人きりにさせたかったから、とは知っているが。何と無くそう言ってみた。
「別に私が仕向けたわけじゃないわ」
嘆息しながら春野が飄々と返してきた。
「じゃあ本当に用事があるのか?」
少し意外だった。そういうことなら、少し誤解していたかもしれない。
狼少年ではないが、すっかり春野のお節介だとばかり思っていた。
「あの子に頼まれたのよ。今回はね」
「冬森に?」
とんでもなく驚いた。わざわざ当事者がそういう、ってことは。
「……まぁ、告白だと思うわ」
「なるほど、な」
青臭い青春ドラマじゃあるまいし、とは言うまい。秋川と冬森は傍目から見てもお似合いだし、当然の帰結と言えるほどだ。
ショック療法というわけでもないが、互いに互いを許せれば自然と男女観も変わるというもの。
あの二人がくっつくのにはメリットさえあれ、デメリットなどないように見える。無論、本人らが望めばの話ではあるが。
「そうなると秋川が煮えきるかどうかだな」
「あら、その心配はないわよ」
まるで未来を見通すかのように言う。どうやらそう確信できるだけの自信があるらしい。俺の方が秋川との付き合いは長いはずなのだが。
どうしてまたそこまで断定できるのやら。長い付き合いからくる直感〜というのは使えまい。
「だって、ね」
「言いづらいことか?」
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