178:当然の帰結8 ◆hwowIh89qo
2011/10/23(日) 21:14:23.05 ID:zDIKKfku0
――やがて、長いキスも終える。
隣はまだ続行しているようだが(夏原の顔色が悪くなっている。呼吸できてないんじゃないだろうか)いいところなようなので止めないでおいた。
「……つぎは、おさけ、ぬきで、やりたいです」
「そうだね」
くしゃり、と彼女の頭をなでてやると、どこか安心したように笑って――僕に抱きついたまま、崩れた。直後に、可愛らしい寝息が聞えてくる。
「……ああ、お酒臭い」
この部屋の臭気といったらない。窓を開けよう。そしてそろそろ、夏原を助けてやらねばならない。
先ほどから、ずっと春野さんがペースを握っているようだ。こういうことには、夏原は弱いらしい。
……少し可哀想だが、冬森さんの腕を解いて、上着をかけてやる。起きた様子はないので、そのまま窓を開ける。
……ああ、新鮮な空気って素晴らしい。外の風は冷たく、寒いぐらいだが、それが心地よい。
「……春野さん。そろそろ夏原が死にそうなんだけど」
虎の尾を踏んだような気分だが、仕方ない。春野さんの肩を叩いて、そう声をかける。
すると、思っていたより正直に春野さんはキスをやめた。二人の間に、銀色の橋がかかる。――なるほど、不潔だ。アダルティ。
「なーにーよー。い〜ところだったでしょ〜!」
「ま、まぁまぁ。落ち着いて」
だめだ。テンプレのように酔っ払っている。いや、そうでなくてはあそこで夏原に迫ったりしないだろう。
……夏原は夏原で、ひどく咳き込んでいる。
「悪い。秋川……助かった。春野、いくらなんでも酔いすぎだ。寝てろ」
「なまえ……」
「はぁ?」
「な、ま、え!」
まるで駄々っ子のように春野さんが両腕を高く振り上げ、何やら抗議している。
――名前で呼べ、ということだろうか。
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