21:>>1[saga]
2011/03/28(月) 22:37:22.06 ID:gJVBoKdj0
そんなこんなで発足してから、一週間が経過した。夏原と春野さんは宛がわれた部室に顔を出すことはあまり無い。
春野さんが冬森さんと一緒に帰るために帰り際に顔を出すのはノーカウントだろう。
もともと二人はわりと忙しい人であるし、絵本を製作することに関しては積極的ではなかった。
あくまでも僕達の活動を応援するというのが二人の名目であり、それには部活として成立するための頭数に自らをカウントするというのも入っているのであろう。
そんなわけで、僕は冬森さんと今日も二人きりだ。冬森さんはよほど集中しているのか真剣な眼差しで原稿用紙にペンを走らせている。
彼女の表情はほころんでいて、実に楽しそうだった。
小説じゃないわけだから、文字数は多くないのだと思う。
それでも僕から見たら結構な枚数いっているので僕に対する絵の注文とか、その他色々な書き込みもされているのだろう。
それにしても楽しそうだ。創作というのは元来そういうものでなければならない。苦しみながらかいたりするなんていうのは嘘だ。
そんなのは自分のしたいことではない。自分が表現したい世界ではないのだから、苦痛に決まっている。
そんな苦痛の中僕らはいたのだろうから、この絵本部という場所はまさしく天国になるだろう。少し言いすぎかもしれないが。
しばらくして、一枚書き終えたのか冬森さんが笑みを浮かべながら僕にソレを手渡してきた。
内容は、ある女の子がカフェオレを飲みながらボヤいているとカフェオレの海に落ちてしまった……というものだ。
絵本らしいメルヘンな路線らしい。これを僕が絵にするとなるとおおよそ二枚のイラストになるだろう。
つまりは、女の子がボヤいているシーンと、海に落ちてしまったシーンだ。
思ったより出来上がった絵本のページ数は多くなってしまいそうだが、そこはまぁ後々微調整していけばいい。
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