過去ログ - 男「また、あした」
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22:>>1[saga]
2011/03/28(月) 22:39:17.59 ID:gJVBoKdj0
「どう……です、か?」

おずおずと冬森さんが言うのも恥ずかしそうに僕に出来を尋ねてきた。未だに、異性にどう接したものかわからない。
ただ、冬森さん相手だと、お互いにお互いが苦手だとわかっているので、その分話しやすいし、打ち解けやすい。
今まで僕は苦手な女の子に例外をもたなかったが、冬森さんは近々その例外に当てはまりそうだ。
そうなれば、絵本作りだって今よりもっとスムーズになる。僕はなんだか淡い期待をしつつ、感想を求めた彼女のために口を開いた。

「面白いと思うよ。メルヘン路線かな」
「はい。絵本っていったらやっぱりメルヘンだと思うんです」
「同感だね。僕は早速、これをイラストに起こせばいいかな」
「もう描けるんですか?」
「描き始めることはできるよ。一枚仕上げるのに二日から三日必要かな」
「なら、私はその間にも続きを書きますね。一緒にやっていった方が、きっと楽しいです」

冬森さんはホッとしたような、それでいて嬉しそうな笑みを僕に投げかけてきた。
ううん。異性とのつきあいが苦手だなんて嘘っぽく感じてきてしまう。
でも、あの時のアガリっぷりときたら(僕も同様だが)尋常じゃなかったので、まぁまぁ真実なのだろう。
まぁ、彼女も僕に対し似たような印象かもしれない。こうした会話なんて僕は仮面を被っているようなものだ。
どう接したらいいかわからないから、当たり障りの無いポイントを探しているといったところか。
同じような境遇な彼女なら僕と同じような対応をしていたとしても不思議な話ではないだろう。
まさかこんなところで自分の性転換版ドッペルゲンガーに出会うことになろうとは思っても見なかったが、それでもこうして自分のしたいことができるのだから文句はいえない。
僕は曖昧な笑みを崩さずに口を開いた。


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