過去ログ - 男「また、あした」
1- 20
24:>>1[saga]
2011/03/28(月) 22:42:11.53 ID:gJVBoKdj0
「二人ともやっているわね」
 と、そこに春野さんがやってきた。ハーフだという彼女はその翠色の瞳と輝くような金の髪が印象的だ。
エネルギッシュで活動的な人で、先生やクラスメイトからの信頼も厚い。アネゴ体質というのがあるが、それを地でいっているのだ。
ただ、僕は彼女が苦手である。得てしてこの世は声の大きい人が強い世界なので僕が彼女のご機嫌を損ねたら社会的に抹殺されることうけあいだからだ。
ニートにはなりたくない。いや、生き残れない。生き残りたいのに。崖っぷちでいいから。
彼女に寵愛されている冬森さんなんかは彼女の来襲を喜んでいる様であったが、僕は内心脅えながら曖昧な笑みを再び浮かべた。

「どんなお話になるの?」
「お菓子の国に迷い込む女の子の話にしようかと思ってて」
「へぇ。面白そうじゃない」
「ですよね。秋川君が絵を描いてくれるから、きっといい絵本になると思うんです」

冬森さんはどこか照れたように笑った。
一方春野さんはそんな冬森さんの笑みを見るや否や、猫科の動物を彷彿させるような笑みを浮かべ、僕をわき目で見てきた。
なんというか、怖い。怖いなんてもんじゃない。恐ろしい。ヘビに睨まれたカエルの気分である。
彼女は僕を品定めするようにしげしげと(あくまでも顔は冬森さんに向いている)見つめ、しばらくしてから視線を冬森さんに戻した。
なんだろう。何をする気だろう。いや、僕は何をされてしまうんだろう?
思わずペンに迷いが生じる。線が大幅に歪んできたのでそこを消しながら、心を落ち着かせることにした。小休止といこう。心臓に悪い。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
223Res/233.21 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice