過去ログ - モダンブレイバー 〜三人のこと〜
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2011/05/02(月) 13:26:03.27 ID:s5qfHOTlo
  
  突如轟音が鳴り響いた。 
  俺は振り向いて駆けだした。 
  遠くで花火への歓声が上がる。 
  だが俺は夢中で走った。逃げるように走った。 
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2011/05/02(月) 13:27:11.25 ID:s5qfHOTlo
  
  白い夢の中であの女は言った。 
  俺は勇者で、力を与えると。それで世の不幸を打ち払えと。 
  全くもって嘘だった。 
  真っ赤な真っ赤な嘘だった。 
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2011/05/02(月) 13:30:46.79 ID:s5qfHOTlo
  
  to be continued... 
  
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2011/05/02(月) 16:41:14.31 ID:s5qfHOTlo
  
  数日後。俺はようやく外に出た。 
  天気はよく、出かけるには最適だったが、俺には関係がなかった。 
  なんなら土砂降りでもいい。 
  
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2011/05/02(月) 16:42:50.24 ID:s5qfHOTlo
  
  アパートに入ると、押入れからゲーム機を取り出した。 
  捨てるに捨てられず、実家からなんとなくこちらに持ってきていた。 
  買ったゲームソフトを差し込み、スイッチを入れた。 
  しばらくして、ゲームのタイトル画面が現れた。 
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2011/05/02(月) 16:51:37.19 ID:s5qfHOTlo
  
  ゲームの世界は荒廃している。 
  魔王の軍が人間界に侵攻し、荒らしているためだ。そういう設定。 
  魔王の一つ手前のボスを倒すと、世界は決定的なダメージを受ける。 
  魔王が人間に最終決戦を挑むのだ。 
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2011/05/02(月) 17:06:24.32 ID:s5qfHOTlo
  
  ハムスターの時のように。いや、あのときよりも熱心に。俺は祈っていた。 
  いるかも分からない神に、天使に、奇跡に。 
  白い病室のベッドで昏々と眠り続ける吉川の手を握りながら、祈っていた。 
  
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2011/05/02(月) 17:16:33.75 ID:s5qfHOTlo
  
  看護師に彼女が目覚めた事を伝えて病室を出る前。 
  俺は一言だけ彼女に聞いた。 
  
 「なんで高橋なんだ?」 
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2011/05/02(月) 17:24:31.61 ID:s5qfHOTlo
  
  規則正しい揺れだった。退屈な日常を代弁しているかのようなそれに俺は身を任せる。 
  肩かけのスポーツバッグも合わせて小さく揺れていた。 
  野球サークルに参加するため電車に乗っている。 
  もう身体を鍛える必要はないのだが、なんとなくやめる気にならずに今でもトレーニングは続けていた。 
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2011/05/02(月) 17:31:56.52 ID:s5qfHOTlo
  
  俺の問いに、彼女は笑った。少し寂しそうに。 
  
 「それが、ですね。死んじゃったんですよ、やっぱり」 
 「え?」 
57:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/05/02(月) 17:37:13.52 ID:s5qfHOTlo
  
 「あの」 
  
  彼女が再び口を開く。 
  
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