過去ログ - 騎士見習い「もう疲れたよ……」
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111:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga >>108どうも]
2011/04/23(土) 08:31:35.25 ID:SJjiHYjwo

 奥まった薄暗い裏路地の真ん中。そこに一人の少女が立っている。
 栗色の長い髪、あどけない顔立ち。ちんまりとした体躯。
 弱気な丸い目からの視線をきゅっ、と精一杯尖らせて、彼女は路地の奥を見据えていた。

「……」

 ここには風が吹かない。日の光は降り注がない。
 あるのはよどんだ空気のみ。

 生ぬるく頬を撫でる空気。
 じめじめと履物の裏を湿らせる地面。
 ここには風が吹かない。

 と。
 少女がおもむろに片手を掲げた。
 真っ直ぐ路地の奥。
 そこにあるのはレンガの壁と、壊れた木箱。

 突如、小さく何かがはじける音。
 それから燃え盛る炎の轟音。
 焼き尽くされる木箱の悲鳴。



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