274:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/07/28(木) 20:56:41.53 ID:1n82qtylo
組み敷かれ、その重みと圧迫感にうめき声が漏れる。
手からは長剣の感触は消えていた。
歓声が聞こえてくる。他の強盗たちのものだろう。
「で? どうやら俺の勝ちのようだが魔術技能士殿?」
「……」
歓声と反対に、沈黙は鼓膜を揺すらない。
アデルがじっとこちらを見つめているのが分かる。
歓声がおさまり、静寂が落ちてから。さすがに訝しく思ったらしい頭がさらに声を上げた。
「おいィ?」
その声が終わるか終わらないかといったタイミングだったろう。
風を切る音がわずかに聞こえた。
それから背中の上の頭がわずかに震える気配。
「……っ!」
悲鳴は聞こえなかった。
他の強盗たちが異変に気づくまでにまたしばらくかかった。
「お頭?」
不意にウィリアムの背中から重みが消えた。
少し間をおき、ウィリアムは痛む肩をさすってゆっくり立ち上がった。
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