過去ログ - まどか「もう大丈夫だよっ」まどか「あなたは……!」
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821:[saga]
2012/02/18(土) 22:10:23.82 ID:+2ts+odto

上司たちの阿鼻叫喚の様を前にして、一人の若い婦警が棒のように立ちつくしていた。
野次馬を追い払う仕事をしなければならないはずだったが、もはや必要はなかった。

「何をしてる! 早く応援を呼べよ!」「応答願います――」「退避しろ!」
「強い妨害電波が――」「狙撃か?」「いや……」「ぎゃあああああああああ!!!!」

最初は爆発だった。
何の前触れもなく、一台の警察車両のボンネットにマンホール大の大穴が開いた。
車両を内側から引き裂く悲鳴のような音が響き、次の瞬間、大破炎上した。

車内に残っていた彼らの長は、その一瞬で炎に包まれ、輪郭は影に消えた。
野次馬は唐突な熱波に腰を抜かし、一目散に離れていく。

異常事態。
それでも残された彼らはプロとして、この異常の意味を理解しようと試みた。
爆破事件の現場に派遣された彼らは、ありとあらゆる爆破の手法に精通していたが、
結論から言って、残念ながら、それらは何の役にも立たなかった。

爆破を受けて、周辺への警戒を密にするが、すでに遅い。
襲撃者はすでに次の獲物を襲っていた。一人の警官が腹に大穴を開けて即死する。
まるで見えない巨大な槍で貫かれたかのように、綺麗な円形にくりぬかれていた。

彼らは理解できない。なぜパトカーは数メートルも打ち上げられているのか。
パトカーが回転しながら宙を舞い、警官を押しつぶし、爆発し、
逃げる者に破片が数十本と突き刺さっていくのか。

――ごめんなさい。

宙を舞う中、声が聞こえ、薄く閉じかけた視界に垣間見る。
奇天烈な出で立ちをした黒髪の女の子が、コマ落ちしたアニメーションのような動きで、
謎の襲撃の嵐も意に介さず、惨劇の中心に向かってくるのを。

彼らは理解できない。
なにも理解できないまま、全滅した。

破壊の中心に、静かに眠りに落ちる少女を残して。



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