過去ログ - 明るい魔まマ 魔法少女まどか☆マギカ 〜私の大切な人〜
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15:ちり紙 ◆B/tbuP0Myc[sage]
2011/04/03(日) 01:30:34.67 ID:8GUEOo26o
          ☆

  ギッギッ……。

 「……社君?」
 「なんでしょうか、早乙女先生」
 「君は私の授業中に何をしてるのかしら」
 「はい。鍛えてます!!」
 「授業中にする事ですか!!鍛えるなら放課後にしなさい!!」
  まどか達の担任で、マミと芳文のクラスの英語の担当教諭でもある早乙女和子先生が、ハンドグリップで握力を鍛えながら、手首に括り付けた鉄アレイを上下させている芳文を叱る。
 「大丈夫です先生。先生の授業はちゃんと聞いています!! それに、時間がないんです。一刻も早く少しでも強くならないといけないんです!!」
 「何を言ってるんですか君は!!」
  ギッギッ……。
 「見ててください!! 先生!! 僕は絶対に強くなってみんなを守ってみせます!!」
 「守るって誰からですか!!」
 「それは言えません!! ただひとつ言えるのは先生、教え子の事を信じてください!!」
  ギッギッ……。
 「……先生、あなたの事がわからないわ」
 「先生、人は言葉と言葉で分かり合える素晴らしい生き物だと思います」
 「だったら、鍛えるのをやめなさい!!」
 「すみません!! できません!!」
 「あ、あなたねぇ……!!」
  芳文に対して早乙女先生が怒りを爆発させようとしたその時、芳文は真剣な表情で先生の顔を見つめて真摯な声で言う。

 「先生、僕は先生の授業大好きです!!」
 「な、突然何を言い出すの社君」
 「先生の授業はとても為になります。だから一分一秒でも無駄にするべきではないと思うんです!!」
 「社君……」
 「先生がしてくださる授業、最高だと思っています。先生がつまらない男に引っかかった時の体験談……それを話してもらえて僕は幸せだと思ってます!!」
 「……え?」
 「先生がつまらない男に引っかかるたびに、その事を話していただく度にちょっとだけ、いい男になれた気がするんです!!」
 「……」
 「なあみんな!! そう思うだろう!!」
  芳文は席から立つと、ハンドグリップと鉄アレイの運動を休めることなく、クラスを見回して言う。 
 「先生の授業を聞く度に、みんな少しずついい男といい女に成長しているんです!! 先生、これからもずっと、僕らに人生の道しるべを示してください!! 僕らの反面教師として!!」
 (うわあ……)
  ざわざわ……。芳文の言葉にマミを含めたクラス全員が、顔を引きつらせて同じセリフを胸に抱く。
 「さあ!! 先生!! 授業の続きをどうぞ!! それで、コーヒーに入れる砂糖の量くらいで、ごちゃごちゃ言ってくるつまらない男にひっかかって、先生はどうしたんですか!? さあ!! さあ!!」
 「……うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!!」
  ぼろぼろと涙を流し、涙をキラキラと振り撒きながら、早乙女先生は教室を飛び出していく。
 「ああっ!? 早乙女先生っ!? どこへ行くんですか!? 授業を!! 授業をしてください!! 早乙女先生ーっ!! カムバーック!!」

 「よっしゃぁぁぁっ!! 自習だぁぁぁっ!!」
  呆然と成り行きを見持っていたクラスメイト達の中から、芳文の友人の天瀬が叫ぶ。
  ワイワイガヤガヤ……。
  それに釣られて数人の男子生徒と女子生徒達が騒ぎ出す。

 「何を言うんだ!! みんなも静かにしろよ!! まだ授業の時間だぞ!! 早乙女先生ーカムバーック!!」
 『おまえが言うな!!』
  クラス全員のツッコミが入る。
 「え?」
 『そこで首を傾げるな!!』
 「……えーと、これは噂に聞く学級崩壊ってやつか。うん。俺、15年間生きてきて初めてだよ。学級崩壊だなんて。早乙女先生も大変だな。うん。いくら公務員でも教職なんて就くもんじゃあないな」
 『……』
 「なあみんな。俺達もう中学3年生じゃないか。もうちょっと大人になろうぜ。この年で学級崩壊なんて、親が聞いたら泣くと思うんだ」
 『おまえが言うか!!』
  クラス全員のツッコミが入る。
 「おお、みんな息ぴったりだなあ。うん。これは体育祭や文化祭の時いい結果が出せるに違いない。いいクラスだ」
  ビッとクラス全員に親指を立てて見せる芳文。
 『……』
 「うん? みんなどうしたんだ?」
  首を傾げる芳文。
 (バ、バカだ!! こいつ、本物のバカだーっ!!)
  クラス全員が芳文への共通認識を抱いた瞬間だった。



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