過去ログ - 黒猫「まったく、とんだクソゲーだわ」
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◆49H2QUBi7VEi
[sage]
2011/05/09(月) 22:50:24.98 ID:7cPTVSf1o
撮影を終えて、ビルのロビーで桐乃を待つ。
要望がなければ彼女は、基本的にすべて一人でメイクや着付けを行うらしい。
結果的に後のことも一人でやることになる。
ほかにも次の予定のことを話すらしいから、もう少しかかるのかもしれない。
そんなことを考えながら、大きな窓からぼんやりと外を眺めていた。
「おまたせ」
「あら、意外と早かったのね?」
「メイク直しあんまりしてないからね。それに……」
「?」
「はやく、あんたと話をしたかった」
「……そう」
本人の言葉通り撮影時のメイクを取って、軽く整えただけのようだ。
とはいえ、桐乃はいつもナチュラルメイクだからいつも通りに見えないこともない。
「……行こっか。近くのカフェでいい?」
「おまかせするわ。……あんまり高いところじゃなければ」
「出すわよ、こっちから誘ったんだもん」
「そう……甘えておくわ」
「あ、はいこれ」
「……これは?」
桐乃から大き目の紙袋を渡される。
中を見ると今日私が着た服と、もう1着違う服が入っていた。
「優子さん、最初に会った女の人ね。あんたのこと気に入ったらしいから、この服あげるってさ」
「気持ちはうれしいけれど、あまりこういう服は……。
それに1日入っただけのバイトが、ここまでしてもらうのも悪いわ」
「言っても聞いてくれないって。そういう人だもん、あの人。
あとこれ、今日のバイト代。あたしのも入ってるけど、あげる」
「……自分のだけでいいわよ。そこまでされるひつy」
「ある!」
「っ!」
「これでも……あんたがこの話の席に来てくれた対価に十分とは思ってない。
だけどいまは……私の分も含めたバイト代を渡して、これから行くカフェの代金払う。
これだけしかできない……これだけしか……する資格がない」
封筒を私に押し付けて視線を下に落したまま、桐乃はそう続ける。
封筒を受け取って中を確認すると、2人分だとしても高校生のアルバイト料には十分すぎる金額が入っていた。
これに加えて、このあとのカフェをおごってもらう。
桐乃がどんな話をするのかは大体予想が尽くし、私に申し訳ない気持ちを持つこともわからないではない。
その話を私が聞くことへの対価がこの2つ。
正直言って多すぎだ。
けれど、ここでどう言っても桐乃は引かないだろう。
意地っ張りで、真っ直ぐな芯をもった、目的のために努力を惜しまない、へそ曲がり。
高坂桐乃はそういう人間だ。
「……ここで押し問答しても仕方がないから、とりあえず受け取っておくわ」
「……ありがとう」
「ただし、借り1つと思っておくから」
「え?いや、それは思わなk」
「借り1つよ」
「……うん、わかった」
「……これでもあなたのオススメのカフェ、楽しみにしてるのよ?」
「っ!!と、当然でしょ!あんたがいつも行ってるような所と、比べモンにならないんだかんね!!」
まだすこし足りないけれど、こうでなくては困る。
高坂桐乃は、私の……大好きな親友は、こういう笑顔でなくては……ね。
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