過去ログ - 黒猫「まったく、とんだクソゲーだわ」
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74: ◆49H2QUBi7VEi[sage]
2011/05/09(月) 22:53:30.29 ID:7cPTVSf1o
「今日のケーキセットを2つ。私はコーヒーで。あんたは?」
「……アイスミルクティーで」
『かしこまりました。ケーキセット2つ、お飲み物はコーヒーとアイスミルクティーですね。
 少々お待ちくださいませー』

席につき注文も終えた。
すぐに話すと思っていたけれど、その様子はない。
ならば食べながら話すのだろうか?
しかしお茶請けに話す内容としては、お互いにかなりキツイ話題と顔ぶれだ。
ならば食べ終わってから?
……それもないわね。
もやもやした御通夜ムードの中で、ケーキと飲み物を食べるというは、ちょっと難易度が高すぎる。
そんなことを考えていると、やっと桐乃が口を開いた。

「ここね、兄貴があんたと別れてから……初めて、”兄貴と二人”で来た場所なんだ」
「…………そう」
「……怒ってる?」
「少し……ね」

振られた女に、彼氏と来た場所に来させる。
ずいぶんと趣味の悪いことするものだ。
そう捉えるのが普通で、怒るのが当然。

「でも、それを自慢するために来たわけではないのでしょう?」
「……うん」

桐乃がこんなに思いつめた表情をしていなければ、そうすることができた。

『おまたせしましたー、ケーキセット二つです。』
「あ……コーヒー、わたしです」
「ミルクティーはこっちです。……さて、あなたがモタモタしているから、ケーキがもうきてしまったわよ?」
「うん……そだね」
『(えぇー?なにこの空気。あたし普通に仕事しただけなんですけどぉー?)
 そ、それではごゆっくりどうぞー』

ウエイトレスはケーキとドリンクを置いた後、決まりの悪そうな顔をして下がっていった。

しばらく待っても、桐乃は一向に話す気配も、食べ始める気配も見せない。
こういうときは、聞く側のほうから何かアクションを起こすと良いと、おばあちゃんが言っていた気がする。

「いえ、何かのキャラだったかしら?」
「へ?」
「なんでもないわ、こっちの話。話すか食べるかして状況を先に進めてほしいのだけれど」
「あ、うん、ごめん」
「はぁ……本当に今日はあなたらしくないわね」
「え?そう……かな?」
「自覚がないとは重症……いえ、あなたはいつも自覚はないわね」
「ちょっと、いくらなんでもそれはひどくない?」
「ひどくないわ、事実だもの。とりあえず先にいただくわね」
「あ、うん、どうぞ」

桐乃の返事を聞いてから、ケーキに手をつける。
スポンジ2層で、間にはスライスしたイチゴと、生クリームのショートケーキ。

「……おいしい」
「でしょ!?あ……」
「いいわよ、そうしてるほうがあなたらしいわ」

紅茶にミルクとガムシロップを入れる。
入れすぎて安っぽい味にならないように気をつけながら。


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