過去ログ - 姫神「ごめんね。上条君」
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63:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[sage]
2011/04/23(土) 01:50:59.53 ID:BGsQlpcYo

暫く走ると私は彼が追いかけて来ているのか気になった。
そのためにその場に立ち止まり、後ろを振り向いて暗闇のなかをじっと見つめる。
丁度その位置は街灯の真下であり、スポットライトのように私に光が差す形になっていた。
光のなかで二十秒ほど注意深く見ていたけど、彼が来ることはなかった。
急ぐ必要はなくなったので後は歩いて寮まで帰ろうと思い足を動かそうとしたけど、重くて動いてくれなかった。
今日は走ることが多かったので疲労が足に溜まっていたのだろう。
立ち止まったついでに私はそこでしゃがみこんで少し休憩を取ることにした。
周りは真っ暗で、もう街灯の照らしている所以外はよく見えなくなっていた。
暗くなる前に帰る筈だったのに、結局こんな時間までそれは叶っていない。
本当に私は何をしているのだろう。
軽い自己嫌悪に陥ったけど、体力は回復したので私は立ち上がって再び歩き始めようとした。
でも、そこで私は違和感を覚えた。
視界がやけにぼやけているのだ。
目が疲れているのだろうかと思って、指で目を擦ると今度はその指が濡れている。
訳がわからなくなって今度は手全体を使って目を拭うと、動かすたびにどんどん手が濡れていった。
そこまでやって私はやっと気がついた。
自分がさっきからずっと泣いているということを。


心のなかで微かに、だけれども確かに何かが壊れるような音がした。


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