10: ◆YwuD4TmTPM[sage saga]
2011/04/11(月) 22:17:18.06 ID:+nr+0qO20
学校へ続く道。一人で歩くには広くて、自転車で走るにはちょうどいいけど、車だと少し狭い。そんな道をまどかは小走りに駆け抜けていた。
よく整地されたアスファルトに日の光が反射してぴかぴか光る。時折瞳を貫くそれに目をしばたたかせつつも、足は止めない。
待ち合わせ場所はもうすぐだ。ややギリギリの出発だったが、早足ならば十分間に合うだろう。
だが、まどかはもう一つの事を考えていた。
(……なんだったのかなあ? あの夢)
夢らしく荒唐無稽なストーリーだったが、妙に生々しくてリアルだったような気もする。
さやかちゃんと仁美ちゃんに相談してみようかな。夢占いとか、そういうの詳しかった気がするし。
ぼんやりと考えをめぐらせつつ、うん、とまどかは胸中で(ついでに実際にも)大きく頷く。
だが、そのせいだろう。
「――ふぎゃっ!」
鼻先にボスッと衝撃が走り、視界の中を星が舞う。
お世辞にもあまり色気のない悲鳴を上げながら、まどかは尻餅をついた。
「ああっ、すいません! ちょっと考え事してて……」
半ば条件反射で謝りつつも、まどかは顔を上げる。
ちょっぴり涙目になって歪む視界の中、そこに青年が一人立っていた。
どこかいかめしく、鋭い雰囲気をたたえている、という印象の青年だ。赤いジャケットを羽織り、色の薄いズボンといった出で立ち。
しかし何よりも彼の印象を剣呑にしているのは、顔の生々しい傷跡だろう。それは、ちょうど左目を縦に貫くように走っており、まどかにはまるで涙を流しているように見えた。
「いや、こちらこそ不注意で悪かった。大丈夫か?」
すると、青年は膝立ちになってこちらに視線を合わせてくる。
なんだか急激に気恥ずかしくなって、まどかは慌てて立ち上がった。
「あっ、はい! 大丈夫です、もう全然大丈夫です!」
ぱたぱたと服についた土埃を払い落とすと、無意味にガッツポーズなどしてみたりする。
それが可笑しかったのか、青年は頬の力を抜くと口元を笑みの形にした。
「そうか。それは良かった」
「あ、あはは……」
照れ笑いしながらも、とりあえず自分の失礼は取り繕えた事に安堵するまどか。
と――
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