881: ◆YwuD4TmTPM[saga]
2012/03/30(金) 21:09:52.13 ID:gecK4ZrR0
『だいたい、なんであんたまでついて来るのよ。気が散って集中できないじゃない』
『集中できねえのはあたしがいようがいまいがどうせ変わらんだろ。
それに、後からどうだったって聞かれても、さやかじゃさっぱりわけがわからん説明しかできねえだろうしさ』
『うっ……』
882: ◆YwuD4TmTPM[saga]
2012/03/30(金) 21:17:16.36 ID:gecK4ZrR0
少しだけ思い出す。
全てが崩れ去り、失われてしまったあの日より前。
こうやって、口論にも似た遣り取りを楽しんでいたあの時を。
瞼を閉じて、今はもうないものを反芻していた杏子は、ふと、目の前の気配の変化に顔を上げた。
883: ◆YwuD4TmTPM[saga]
2012/03/30(金) 21:17:40.75 ID:gecK4ZrR0
と、ちょっと風呂に行きますので少し休憩
884: ◆YwuD4TmTPM[saga]
2012/03/30(金) 22:54:03.42 ID:gecK4ZrR0
再開します
885: ◆YwuD4TmTPM[saga]
2012/03/30(金) 22:56:46.09 ID:gecK4ZrR0
「……杏子はさ。なんであたしのためにそこまで世話焼いてくれるの?」
「そりゃあ、おめーを適当にからかうのが面白いから――」
あくまで飄々とした態度を崩さずに、だが視線は逸らしながら杏子は嘯く。
886: ◆YwuD4TmTPM[saga]
2012/03/30(金) 23:25:54.32 ID:gecK4ZrR0
ざくり、と。
心の奥の奥へ、わずかな隙間を縫って穿たれた一撃に、杏子は硬直した。
「失われてしまったあんたの家族はもう取り戻すことはできない。あたしがどうなったところで、あんたの過去が消えるわけじゃない」
887: ◆YwuD4TmTPM[saga]
2012/03/30(金) 23:38:12.08 ID:gecK4ZrR0
「わかってるってんだよ、ンなこたあよ!」
怒気混じりにぶちまけた。
「意味わかんねーよ、馬っ鹿かお前!? 大体お前なんざモモにも親父にもこれっぽっちも似てねえっての!」
888:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県)[sage]
2012/03/30(金) 23:58:40.89 ID:gecK4ZrR0
「――!」
突如、脳裏に訪れたザラついた感触に、杏子は表情を引き締めた。
さやかも、同じくさっきまでの笑顔を引っ込めている。
889: ◆YwuD4TmTPM[saga]
2012/03/31(土) 00:08:12.49 ID:PgBGyIvd0
「――はぁ? 馬っ鹿かお前。何考えてやがるんだ!」
憤怒の形相で振り返った杏子は、つかつかとさやかの目の前まで歩み寄る。
「あの上条ってのに告白するんだろ? 今から行っちまうと間に合わなくなっちまうぞ!」
890: ◆YwuD4TmTPM[saga]
2012/03/31(土) 00:15:38.67 ID:PgBGyIvd0
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――それから、きっかり五分後。
閉じられていた屋上の扉が、先ほどよりも勢い弱く、よたよたと開いた。
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