過去ログ - 魔法少女まどか☆イチロー
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26: ◆tUNoJq4Lwk[saga]
2011/04/09(土) 21:00:20.23 ID:y4wKISZKo
 さやかの脚が止まる。

「ここの病院に入院している幼馴染の怪我を治すために、とか」

 イチローのその言葉にさやかは振りかえり、彼の顔を鋭く睨みつけた。

 彼は動揺する様子もなく、こちらを悠然と見据えている。さやかはまるで、自分の心

がすべて見透かされているような気持ちになった。

「だ、だったらどうだっていうんですか?」

「巴マミの様子は知っているだろう?」

「う……」

「魔法少女になるということが、どれだけ過酷な運命迎えるかということも」

「だから、それもあなたには関係ないでしょ」

「……そうだよ」

「だったら」

「確かに僕には関係ない。しかし、キミを大切に思っていてくれる人はどうだい?」

「え?」

「鹿目まどかは、キミが戦いの運命に身を投じることをどう思うだろう」

「それは……」

「美樹さやか。安易に魔法なんて“力”に頼るのはよくない」

「それなら、どうすればいいのさ」

「明日、今日と同じ時間にまた病院に来てくれ」

「はい?」

「キミの幼馴染の、えーと……」

「上条恭介」

「そう、その上条くんという子を励ましてみせるよ」

「励ます? どうやって? まさかあなたが直接行って励ましますか」

 できるわけがない。さやかはそう思った。

 ヴァイオリンという手段を奪われた恭介がいかに絶望しているのか、彼女には痛いほどわかって
いたからだ。

「いや、僕にはそれはできない」

「え? じゃあどうやって」

「僕の“尊敬する人”に来てもらうことにするよ。彼ならきっと、奇跡だって起こせるはずだ。
もちろん魔法なんか使わずにね」

「奇跡? そんな」

「魔法少女になるかならないかを決めるのは、それからでも遅くないと思うよ」

「……」

「それじゃ、またいつか」

 そう言うと、イチローはさやかの向かう方向と逆の方向へ歩いて行った。

 さやかは、その姿を茫然と見つめるよりほかなかった。



   今度こそ本当につづく


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