3:トリを失敗したorz ◆tUNoJq4Lwk[saga]
2011/04/09(土) 20:05:28.18 ID:y4wKISZKo
その日、担任教師の早乙女 和子は、朝のショートホームルームの時間に転校生を紹介した。
転校生が教室に入ってくると、生徒たちはざわく。
まどかには、一瞬で空気が変わったように思えた。
長い黒髪に黒のカチューシャ、それが彼女の見に纏うミステリアスな雰囲気を更に増幅させるようだ。
(あの子は……。うそ……)
まどかは、彼女の顔に見覚えがあった。
夢の中で戦っていた、あの少女だ。
「はい、それじゃあ自己紹介いってみよう」担任は笑顔で促す。
「暁美 ほむらです。よろしくお願いします」
担任教師のどこか浮ついた雰囲気とは対照的に、ほむらはとても落ち着いた声ではっきりと自己紹介をし、
ゆっくり礼をした。とても中学生とは思えない立ち振る舞いに圧倒されるクラスの生徒たち。
それはまどかも例外ではない。
ふと、彼女と目が合う。
その真っすぐな視線に、彼女は居心地が悪くなるのを感じた。
暁美ほむらは自分のことをあまり語らない。好奇心を持て余す女子生徒たちが彼女の周りに集まり、
色々と質問しているけれど、必要最低限の答えをするのみで、それ以上の会話の発展はない。
「なんか、嫌な感じだな」
まどかの親友でもありクラスメイトの美樹さやかはそう言ってほむらから目をそらした。さやかはああいう
タイプは苦手なんだろうな、とまどかは思う。
暁美ほむらは感情を表に出さないタイプ。感情を前面に出すさやかとは対称的だ。
「……」
「そういやまどか、さっきあの暁美っていう転校生と目があったよね」
「え? いや」
「知り合いなの?」
「そういうんじゃないけど……」
夢の中で会った、などとはなぜか言えない。
「ちょっとまどか」不意にさやかが呼びかけてくる。
「なに、さやかちゃん」
顔を上げると目の前に、暁美ほむらが立っていた。
「保健係の鹿目まどかさんは、あなたね」
「え、はい」
「気分がよくないの。保健室に連れて行ってくれるかしら」
「あ、はい。ちょっと待ってね。じゃあ、行こうか暁美さん」
まどかは、ほむらを連れて教室を出ようとするけれど、彼女のほうが先にずんずんと外へ歩いて行くのだ。
まるで目的地がわかっているように。
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