46: ◆tUNoJq4Lwk[saga]
2011/04/10(日) 20:52:58.60 ID:5SfnCg8To
息切れをしながら語る、そんな江頭の話を聞いて、まどかは涙をぬぐっていた。
「エガちゃん、カッコイイよ」
さやかも、ほんの少し江頭のことをカッコイイと思ったけれど、それを口にしたら
負けたような気がしたので絶対に言わなかった。
「あっ、バイトの時間だ!」
突然、江頭は左腕を見て(当然時計はしていない)そう言うと、特に別れの挨拶もなしに、
病室から出て行ってしまった。
江頭が出て行った病室は、今度こそ本当に静かになった。
「ああ、エガちゃん行っちゃった……」まどかは本当に残念そうに言う。
「あの、恭介?」
江頭が出て行った後、ピクリとも動かない恭介に対し、さやかは声をかけて見る。
「……めん」
「え?」
「ごめん、さやか」
「ど、どうしたんだよ一体」
「僕がバカだった」
「さやかは全然悪くないのに、キミや家族に八つ当たりしたりして、本当にバカだ」
「どうしたんだよ、今さら」
「僕は諦めない」
「恭介?」
「僕は諦めないよ。たとえヴァイオリンが弾けなくなっても、僕は、音楽が好きなんだ!」
「あんた……」
「そうと決まればさっそくリハビリだ。絶対に治ってやる」
「うん」
「さやか」
「え? なに」
「ごめん、そして、ありがとう」
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