2:アスカ「私なりの愛ってやつよ」
2011/04/13(水) 23:21:43.98 ID:nYXsbXrS0
『第四話』 畳の上の放浪
中学3年生になるまでの15年間、実益のあることなど何一つしていない事を断言しておくよ。
異性との健全な交際、学問への精進、肉体の鍛錬など、社会的有意義な
人材となるための布石の数々をことごとくはずし、異性からの孤立、学問の放棄、肉体の衰弱化などの
打たないでも良い布石を狙い澄まして打ちまくってきたのは、なにゆえだろう。
わかってるさ。
責任者は僕だ、今回ばかりは。
○
中学二年生の12月を迎えた僕は、勉学に励むでもなくマンションの一室にこもって暮らしていた。
この狭き空間をこよなく愛し、ひきこもり生活を満喫している。
僕は外の世界に嫌気がさしていた。
特に父やNERVの連中を相手にするのは、いい加減うんざりしていたんだ。
不毛な中学校生活を過ごして未来に泥を塗ったうえ、出席日数は決定的に足りなかった。
いくら必死に足掻こうとも、どうにもならない泥沼の境地へ達している。
漠然と三年目を迎えるにあたって、僕が世間に求めるものは何もなかった。
この腐りかけたベッドと机、本棚と申し訳程度の服。
それが僕の小さな世界の全てだった。
そして今はそれが客観的な事実でもある。
僕がこのちっぽけな世界に追いやられてから、既に一カ月以上が経過している。
何故こんなことになってしまったのか。
○
この手記の主な登場人物は僕だ。本当に申し訳ないことだけど、ほとんど僕だけなんだ。
しかし、そんな世間から断絶された僕も、ついに部屋から外へ出る時が来た。
これほど世界を嫌っていた僕が、なにゆえそこから追われることになったのか。
その経緯を今から語ろうという訳さ。
○
中学二年生もとうに半分を過ぎた、12月29日。
年の瀬も押し迫り、街を歩く人々はいそいそと用事を済ます。
そんなせわしない人々の様子を、僕は窓から眺めていた。
僕が住まいにしているのは、第三新東京市の郊外にある「コンフォート17」というマンションだ。
聞いたところによると、15年前のセカンド・インパクトの混乱期も生き残り、
この度改修を終えたばかりという物件だ。
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