33:アスカ「私なりの愛ってやつよ」
2011/04/13(水) 23:52:38.18 ID:nYXsbXrS0
「やあ、大丈夫?」
僕が声をかけると、彼女は弱々しい笑みを浮かべた。
「人ごみに揉まれて、ふらついてしまったの」
なるほどそういうことかと思った。
「二号機パイロットは、無事?」
「さっき救急車で運ばれていったよ。大した事は無いと思う。お茶でも飲んで落ち着くかい?」
僕は手近な自動販売機でジュースを買ってきて、彼女と二人で飲んだ。
「ところで、メガネケースはまだ持ってる?」
僕は尋ねた。
「ええ、でも、肝心の眼鏡が見つからなくて……」
と言ってから、僕がさし出す黒ぶち眼鏡を見て、口をつぐんだ。
それから僕の目をまじまじと見た後、ようやく納得が言ったという顔をした。
「以前、探す約束を、してくれたんだったわね。本当にありがとう」
彼女は僕の顔を見つめて言った。
もはやこの感情について、今さらつらつら説明してもしょうがない。
ともかくその場を何とか持たせようと四苦八苦して、僕は一つのセリフを吐いた。
「綾波さん、屋台ラーメンを食べに行かない?」
○
僕と綾波さんの関係がその後いかなる進展を見せたか。
それはこの記録の趣旨から外れる。
だから、そのうれしはずかしな出来事を逐一書いたりはしないよ。
読者の皆さんも、そんな唾棄すべきものを読んで、
貴重な時間を溝に捨てたくはないだろうしね。
成就した恋ほど語るに値しないものもないさ。
○
僕は加持師匠のもとへ半ば強制的に弟子入りさせられ、当の師匠は世界一周(逃亡)の旅へと消えた。
加持師匠は男気を見せたらしい。
先日届いた国際郵便には、葛城二佐と仲良く並んでいるツーショットの写真が入っていた。
二人とも元気でやってほしい。
父と冬月氏は元の鞘に収まり、司令と副司令を続投する。
そう言えば無言の美女、ユイさんはどうなったか、それを述べてなかったね。
○
二号機暴走事故から3日後、僕は司令の執務室へ呼び出された。
部屋には父しか居ない。
父は落ち着きのない様子で、僕の答えを待っている。
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