3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage saga]
2011/04/16(土) 03:31:32.87 ID:QJzJFNXt0
「……はっ、はっ」
少女が必死に走っている。
パタパタとコンクリートを叩く足音と、激しくも規則的な息遣いが裏路地の壁に反響する。
肩口で切り揃えられたセミロングの茶髪が汗を吸って重そうにもたなびく。
常盤台指定の制服が風を受けて翻り、スカートから覗くしなやかな脚が跳ねる。彼女は打ち捨てられていたダストボックスを飛び越えながら、煩わしそうに目元のゴーグルを額へとやった。
「はぁっ……、はあっ――――っぐ……」
暫く後に全力疾走を続けたツケがきたのか、胃酸が口元にのぼってきたらしい。
口元に手をやって、こみ上げてきた酸味の強い液体を無理やり飲み込む。
舌の上で、少し混じった鉄の味を感じた少女は一時的な身体の限界を察したのか。
素早い動作でビルとビルの間の横道に身を滑り込ませた。それでも肩や脚の筋肉はは未だ緊張に強張り、腕では華奢な見た目に似合わぬ短機関銃の各部を確認することに余念が無い。
銃と最小限の器具を収納していた抱鞄は、デッドウェイトと判断し打ち捨ててしまってから間もなかった。
少し汗に塗れたゴーグルを目に被せ、ビルの角から最小限の面積を露出させて備え付けのセンサーを作動させる。
どうやら、壊れて使用不能だなんていう間抜けな展開にはならないようだ。
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