31:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage saga]
2011/04/17(日) 21:49:09.92 ID:kFidVDyl0
儀礼的ではあるものの少女が一方通行に一礼する。
だが、少女は己の発言に反してその場から一歩も動こうとしない。
特別何かをしようとする風でもなく、それにしてはやけに落ち着きのない様子で立ち尽くす少女。
少女のそんな様子が、実はかなり珍しいものなのだと一方通行は知っていた。その知識が、彼に声をかけさせる。
「…………なンだ?」
今回、一方通行が気分を害しているという事実は存在しない。
しかし彼の発言に込められた感情を形容しようとするなら、『苛立たしげな声』となってしまうのは万人が万人認める所であろう。
鋭い目付きと眉間に寄せられたシワがそれを助長する。
「…………いえ、何でもありません、とミサカは言います。それでは失礼します一方通行、とミサカはこの場を後にします」
ふいと視線を外してしまった少女がバッグを肩に抱えて足早に去っていく。
その背中を見送った一方通行は、目を閉じたまま暫く動かない。
握られていた左手が一度開かれ、何かを掴むように握り締められ、そしてまた開かれる間。ずっと、一方通行は瞑目したままだった。
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