過去ログ - 10031号の、ささやかな望み
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9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage saga]
2011/04/16(土) 04:15:25.22 ID:QJzJFNXt0

「だが演算さえ追いつけば360度全てのベクトルに対して変換と操作は出来る。……反射もなァ。寧ろ、大量の酸素の消費の方が危ねェか。暫く息を止めるなンて間抜けな面を晒させた分だけテメェはよくやったよ」

「御高説痛み入ります。と、ミサカは淡々と一方通行の説明に対する皮肉を交えた感謝を表します」

「空気、風、みィンな俺に触れてるもンだ。触れたものを解析してベクトルを操作する、それが俺の能力。つまり――――――この手の届く限り空を流れる雲を千切り、凪いでいる風を自在に躍らせる事もできる」


一方通行のその言葉通り、室内の澱んだ空気が顔を撫でて通ったのをミサカ10029号は確かに肌で感じとった。
彼の言葉が文字通りならばまさにそれは無敵に等しい能力と言える。
触れている、という概念に対する拡大解釈は果てしない。一方通行と彼女の間に隔たる壁は、最早強能力と超能力といった区切りで測れるものではない、そう彼女は考えた。

例え自身が彼と同じ超能力の、電撃使い(エレクトロマスター)だったとしても同じ枠内では括れまいと。



達観や諦観にも似た感覚の中でようやく視界が正常に戻ると、そこには見下ろし気味の一方通行がポツリと立っているだけだった。
その背後には、彼が己でぶち抜いたであろう大穴が口を開けている。
落ち着いてみれば、先ほどから引き抜こうとしていた右足から発せられている痛みは尋常なものではない。
薄暗い照明に加えコンクリートの影になっていて患部を直接窺う事は出来ないが、軽症ということはまずあるまい。
彼女がそんな分析を続けているとやがて、鋭い視線もそのままにニコリともせず一方通行は声を上げた。




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