過去ログ - 番外個体「今は、まだ」
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21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/04/29(金) 18:36:57.00 ID:LQAp/KUE0
数分後。番外個体は、麦野の寝室で横になっていた。
彼女が身につけている寝巻は、薄ピンクの些か少女趣味な代物だった。
それは、麦野の趣味ではない。

「ミサカにも、『お母さん』がいたらこんな感じなのかねえ」

傍らに立つ麦野を見上げて、番外個体が笑った。

「こんなデカイ娘を持った覚えはないわよ」

麦野も笑う。

「ま、ミサカもこんな人格破綻者の母親なんてごめんだけどね」

「……治ったら覚えとけよ」

「きゃーこわーい」

番外個体がケタケタと声を立てた。
その直後、頭痛が悪化したのか、彼女は露骨に顔を顰める。

「ほら、病人が調子に乗るからそういうことになるのよ」

麦野はフフンと鼻で笑うが、その声は言葉に反して柔らかい。
番外個体は、ふと小さな子供のような顔をして呟いた。

「こんな時間に、眠れるかな」

「眠れるわよ」

番外個体の頭を撫でる麦野は、それこそ彼女の母親のようだった。

「もし、夜中に目が覚めたら、その時は話を聞いてやるからさ。
 だから、さっさと寝ちゃいなさい」

「うん」

番外個体は、コクンと頷いて、瞳を閉じた。

「おやすみ」

「おやすみ」

眠れるはずがないと思っていた。
それでも、もはや体が限界だったのか、それとも、麦野と会ったことで気が抜けたのか。
いつの間にか、番外個体は深い眠りに落ちていた。


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