過去ログ - まどか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇
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◆ySV3bQLdI.
[sage saga]
2011/07/08(金) 01:39:49.11 ID:+cDj65g7o
大方、まどかとさやかはキュゥべえに誘われたのだろうが、この男は自らの意思で来た。
このタイミングで、作業員でもないのに、だ。こんな場所、普通なら頼まれたって入りたくない。
それだけでも疑うには十分なのに、使い魔を隠れてやり過ごし、フロアの奥まで入ってくる。
途中には非常口を示す非常灯だってあったのに。
「あり得ないとは言い切れないわ」
と、マミが言った。
そう、有り得ないとは言い切れない。根拠として弱いことは自覚していた。
だからこそ迷いは拭い切れないが、撃ちさえしなければ間違っていてもなんとかなる。
大事なのは鋼牙が来るまで足止めすることだ。
彼さえ来てくれれば、きっと何もかもがはっきりする。
――だからお願い……早く来て……!
マミと、男と、さやか。額に汗を浮かべながら、ほむらは三方に注意を絶やさない。
マミは敵愾心を隠すことなく、憎悪すら露わにして睨んでいる。
さやかとまどかも気丈に口を引き結んでいるが、拳銃というリアルな脅威を前に震えていた。
男は変わらずだ。
この膠着状態、長くは維持できないだろう。
ほむらが隙を見せるか、マミが想定外の手段で攻勢に出るか、さやかが恐怖に耐えられなくなるか。
確かな事実は二つ。
均衡が崩れれば誰かが死ぬこと。
そして、すべての鍵はこの両手に掛かっていること。
呼吸も忘れるほどの緊張。一瞬でも注意を緩めれば、マミか正体を現した男に容易く狩られる気がした。
ほむらは願いを込めて鋼牙の姿を思い浮かべた。
白いコート。赤い柄と鞘の剣。ザルバとかいう喋る指輪。
それらを一つ一つ思い出す過程で、ほむらはハッとなる。
目蓋の裏に焼き付いた鮮やかな緑の炎。挟んで視線を交わした。
あの時、彼は何と言った?
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