過去ログ - まどか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇
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256: ◆ySV3bQLdI.[sage saga]
2011/07/08(金) 01:39:49.11 ID:+cDj65g7o

 大方、まどかとさやかはキュゥべえに誘われたのだろうが、この男は自らの意思で来た。
このタイミングで、作業員でもないのに、だ。こんな場所、普通なら頼まれたって入りたくない。
 それだけでも疑うには十分なのに、使い魔を隠れてやり過ごし、フロアの奥まで入ってくる。
途中には非常口を示す非常灯だってあったのに。

「あり得ないとは言い切れないわ」

 と、マミが言った。
 そう、有り得ないとは言い切れない。根拠として弱いことは自覚していた。
 だからこそ迷いは拭い切れないが、撃ちさえしなければ間違っていてもなんとかなる。
大事なのは鋼牙が来るまで足止めすることだ。
 彼さえ来てくれれば、きっと何もかもがはっきりする。

――だからお願い……早く来て……!

 マミと、男と、さやか。額に汗を浮かべながら、ほむらは三方に注意を絶やさない。
 マミは敵愾心を隠すことなく、憎悪すら露わにして睨んでいる。
 さやかとまどかも気丈に口を引き結んでいるが、拳銃というリアルな脅威を前に震えていた。
 男は変わらずだ。

 この膠着状態、長くは維持できないだろう。
 ほむらが隙を見せるか、マミが想定外の手段で攻勢に出るか、さやかが恐怖に耐えられなくなるか。
 確かな事実は二つ。
 均衡が崩れれば誰かが死ぬこと。
 そして、すべての鍵はこの両手に掛かっていること。
 呼吸も忘れるほどの緊張。一瞬でも注意を緩めれば、マミか正体を現した男に容易く狩られる気がした。

 ほむらは願いを込めて鋼牙の姿を思い浮かべた。
 白いコート。赤い柄と鞘の剣。ザルバとかいう喋る指輪。
 それらを一つ一つ思い出す過程で、ほむらはハッとなる。
 目蓋の裏に焼き付いた鮮やかな緑の炎。挟んで視線を交わした。
 あの時、彼は何と言った?



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