過去ログ - まどか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇
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◆ySV3bQLdI.
[saga]
2011/10/06(木) 02:47:58.39 ID:ISn5s9jjo
しかし、そんなことは到底不可能だった。
背筋から脳天まで駆け上がる熱い奔流が、冷静さや自制心を押し流していく。
ドロドロに熔けた鉄のようなそれは、理性も迷いも羞恥も呑み込み、焼き尽くす。
――まるで一匹の獣。こいつの言ったまま、野良犬そのものだ。
手当たり次第に噛み付いて、誰も近付けないし、誰にも近付かない。
あたしはこいつが狼だと感じ、こいつはあたしを野良犬と例えた。
近いものを感じたのも、きっとそのせい。
同じ臭いを嗅ぎ取ったんだ。
孤独と言う名の臭いを。
なのに……!
……いいさ。
こいつが狼なら、あたしは野良犬でいい。
喉笛に喰らいついて、噛み千切ってやらなきゃ、あたしの気が済まない――
決意を固め、ゆっくりと開かれる杏子の面。
泣くでもなく。
怒り狂うでもなく。
ただ虚無だった。
逆に向いた椅子の上に乗り、テーブルの縁に片足を乗せる。
手はパーカーのポケットに突っ込み、高みから零を見下ろす。
見下ろす眼は据わり、それ以外は人形を思わせる無表情で皺一つ寄らず、個々のパーツは微動だにしない。
底冷えするような凍てつく眼光は、ひたすら零に注がれていた。
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