過去ログ - まどか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇
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63: ◆ySV3bQLdI.[saga]
2011/04/29(金) 00:30:46.15 ID:PbRgPovxo

 ここは自分の居場所じゃない。
 早く、早く行かなければ。

 交差する車道の信号機だけを見て、一秒でも早く、この閉塞した状況から脱することを渇望する。

 でも、どこへ?
 自分が最も必要とされる場所、輝ける場所、いてもいいと言われる場所。自分にしかできないこと、という意味であれば、この世界にはない。
どこを探したって見つりっこない。あの、おぞましい魔女の結界の中にしかないのだ。

 しかし求めるのは、あんな毒々しい悪趣味な空間とは違う。もっと美しく光り輝く、陽だまりのような場所だったはず。
 本当に求めるもの。両親と在りし日の自分を取り戻せる安らぎの世界。それはどこかと考え――彼女は思い至った。
 
 それは思い出の中に。でも、もうそんなものでは満足できない。では、どうすればいいというのか。

 意識すればするほど、息苦しさが加速度的に増していく。視界に移る街は色褪せ、目まぐるしく揺らぐ。
今の自分は正常ではないと自覚しながらも、胸を掻きむしるような呼吸困難は耐え難いものになっていた。
 やがて信号が切り替わった瞬間、マミは脱兎の如くかけ出した。もう一秒だって、こんなところにいたくない。
そう思ったら、身体が自然に動いていた。
 
 得体の知れない衝動に突き動かされ、マミは未だ自動車が激しく行き来する車道に飛び出した。
 
 だが、今のマミには、それすら些事に過ぎない。

 その瞬間の彼女の目には、彼女だけに見える安らぎの世界が、確かに手を伸ばせば届く距離まで近付いていた。





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