過去ログ - まどか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇
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903: ◆ySV3bQLdI.[ saga]
2012/02/07(火) 01:48:07.28 ID:DylvrvT4o

 しかし、鋼牙が口に出すことはなかった。
 すんでのところで言葉を呑み込む。
 咄嗟に直感がブレーキを掛けた。その先を口にするな、と。

 そこに強いて理由を付けるとしたら、まだ憶測の域を出ないからだ。
 もしも推測通りだとしたら、ほむらやマミには重い宣告になる。
迂闊な発言で動揺させたくない。
 そう、魂が抜き取られ、宝石に変えられているなどと。

 魂。
 人によって呼び名や概念は様々だが、
脳や心臓とは別に人間の生命活動と精神の中核を成す存在――それを魂と呼ぶ。
 宗教や文化ごとに捉え方も異なる曖昧なそれは、本来、目に見える物ではない。
それどころか一般には存在すら怪しまれている。

 しかし、その存在を自覚する者は、そこから力を引き出すこともできる。
 力は《気》や《魔力》、《霊力》などの名を持って振るわれ、その用途は無限に等しい。
 鋼牙の知る限り、魂の存在を認識しているのは魔戒騎士と魔戒法師、
さらに干渉する術を心得ているのは法師だけである。

 だが、目の前のキュゥべえは法師よりもむしろ、魂を喰らう怪物――ホラーに近い。
 見た目ではない。その得体の知れなさ、底知れなさが、どうしようもなく鋼牙の危機感を刺激するのだ。
 魂を取り出して宝石に変えるなど、最早ホラーの如き所業。
 そんな相手なら、真実が定かでない以上、手札をすべて切らない方がいい。
と言っても、こちらが察し始めていることなど相手も見抜いているだろう。

 ここで何も言わなければ、さやかやまどかが真実を知らぬまま契約してしまうかもしれないが、
まどかもさやかも、キュゥべえが何か隠しているのは気付いているだろう。
 知った上で契約するなら、鋼牙には止める気も、そんな権利もない。

 そこまで踏み込むつもりもなかった。どこまで踏み込むか、彼女らに関わるか、鋼牙は決めあぐねていた。
 ずっと傍にいて守ってやることも、監視しておくこともできはしない。
 結局は彼女ら自身が選択し、決断すべきだ。
 命を懸けてでも叶えたい願い、守りたいものがあるのなら。

『やはり……なんだい?』

「……いや、なんでもない」

 キュゥべえに問われ、鋼牙は言葉を濁した。



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