過去ログ - なのは「とある科学の」 当麻「魔法少女」
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2: ◆LFImFQtWF6[saga]
2011/04/29(金) 00:39:50.65 ID:x+3bL0DL0
『プロローグ』


【親愛なる上条当麻へ。禁書目録の件は一時は、イギリス本国へ至急連れ戻せ。とのことだったんだが、彼女にかかっていた魔法について問いただした所、手のひらを返したように保留となった。君と馴れ合うつもりはないし、礼を言うつもりも無い。以上だ】

とある病院の病室に居るツンツン頭の青年は、手紙を読み終えると物思いにふけったような表情で窓の外を見ていた。
彼の名前は、上条当麻(かみじょうとうま)。
とある高校の1年生。彼は―――
扉をノックする音が、当麻の耳に届いた。
「とうま。入っていい?」
声からして、訪問者は少女のようだ。
当麻が「どうぞ」というと、声の主であり、先の手紙に書かれていた禁書目録(インデックス)という、
不思議な名前の少女が入ってきた。


「どなた……ですか?」
「えっ?」
当麻の言葉に禁書は小さな悲鳴のような声を漏らした。
少女の瞳には、瞬く間に水が溜まっていく。
「わ、私はね? 禁書目録って言うんだよ?」
「不思議な名前ですね?」
「と、とうまはね? 偽名じゃねーかって怒鳴ったんだよ?」
「俺が? 人違いじゃ、ありませんか?」
「っ?!」
禁書の瞳に溜まった水は、川の氾濫のように溢れ出し、頬を伝っていく。
その時だった。


「くっ……くくくく。あははははは」
「えっ?」
突然響いた笑い声は、当麻のものだった。
突然のことに、頭が付いていかない禁書が、
驚いて当麻を見つめると、笑っていた。
「なんつー顔してんだよ。なんで? そんな顔してるから教えてやるけど、光の羽って言うのは魔術だろ?」
「あっ……」
「そう。つまり、魔術のダメージなんだから。右手で触れれば元通り」
「あっ、じゃぁ……」
「そう。記憶喪失なんてモーマンタイ」
当麻がそう言った途端、
禁書の歯がキラッと光る。
「あっとぉ……俺。病人―――」
「知らない!!」
その後すぐに、当麻の悲鳴が病院の音を掻き消した。


音を立てて扉が閉まる。
同時に、医者が入ってきた。
「本当に良いのかい?」
「ええ」
「本当は何も覚えていないというのに……」
「これで良いんですよ。手紙の内容が、全て事実。そうは思えないけれど。あの子にだけは泣いてほしくないそう思ったんです」
当麻が、小さな笑みを浮かべる。
「――案外。覚えてるのかもしれませんね」
「思い出が残っている? いったいどこに?」
「決まってるじゃないですか。心に。ですよ」


彼、上条当麻は、記憶を失ってしまった。
それも、思い出だけを。
それは、彼が魔術と言う非科学の世界に足を踏み入れ、禁書目録という少女を助けるための代償だったのかもしれない。
しかし、これはほんの些細な出来事だったのかもしれない。
彼は魔術を知ったことで、本来知りえなかった、聞くことは無かった、遭う事は無かった事件。
会うことは無い人と、出会うことになった。


それは、退院してから数日後のことだった。


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