3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)
2011/05/02(月) 17:44:36.78 ID:vZ0FaaUq0
夏休み……まだ子供っぽさが抜けていない中学二年生の夏。仕事などの都合で家を空けがちな両親は、娘である暁美ほむらを一週間の学習交流自然学校へと送りだして……いや、預からせていた。
もともとは学校が企画したもので、そういったものに興味を持つ者が数ないのか、参加した者は少ない。中学一年生が二人、中学二年生が八人、中学三年生が一人に、十一人が、今回の参加者だった。
それと、偶然自然学校の宿泊先で出会った同い年くらいの少女を加えれば、十二人である。
それぞれ、面識があったわけではなくぎこちない会話が最初の頃は続いてはいたものの、同年代で全員が女性ということが幸いしたのだろうか? 一日、二日と経つと、気づけばほとんど打ち解けて気軽に会話できる仲となっていた。
そして今日、自然学校の五日目。今日の主な行事は自然観察という名の、水遊びである。
「風が気持ちいいね、ほむらちゃん」
「うん、いつもよりも涼しく感じる……」
海から少し離れた岩場に座っていた鹿目まどかの問いかけに、ほむらは素直に答えた。座っている岩もちょうど場所が日陰になっているためか、心地いい冷たさを感じさせている。
「このまま横になって寝ちゃおうかな!」
「え、だ、ダメだよまどか……! 危ないよ……」
「えへへ、冗談だよ」
いつもの笑顔を見せた後、まどかは海辺にいる10人の様子をじっと眺める。少し羨ましそうな目で見るまどかに、ほむらは……
「まどか、私に気にしないでいいんだよ?」
「え?」
「昨日、私が足をつっちゃって溺れそうになったから、こうやって傍にいるんだよね」
昨日まどかと別行動をしていたほむらだったが、一人で海に浮かんでいた時、不意に足がつり溺れかけた事があった。
そばにいたマミの救出のおかげで無事に済んだのだが、それからというもの、まどかはほむらのそばを決して離れようとはしなかった。同じ事がもし起きたら……優しい彼女のことだから、きっとそう思っているに違いない。
「そんなことないよ! わたしも、昨日泳いで満足しちゃったし」
「でも……」
「そういえば、みんな昨日と違ってバラバラだよね!」
まどかは話を逸らすように、海辺にいる10人の少女たちに向けて指さす。
ほむらは、そんなまどかを見て申し訳ない気持ちになってしまう。でも確かに、まどかの言う通り昨日は全員が海の中にいたのに対して、今日の“みんな”の行動は大きく違っていた。
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