過去ログ - 人を救った偽善者と人を殺した正義の味方
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33:1 ◆TyXhq8/md2[saga]
2011/05/03(火) 00:52:17.04 ID:iJNIbgsA0
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―――Interlude in

鈍い剣の音が響く。

神裂火織は困惑していた。
この男はどうやって何も無い所から剣を出したのか。
聖人たる私に拮抗するこの男は何者なのか。
なぜこの男は競り合うばかりで全く攻めてこないのか。
考えれば考えるだけ思考は泥沼に嵌っていく。

(考えるな。私が今すべきは目の前の敵を倒すことのみ―――!)

一旦引き、刀を振りかぶってもう三度目になる渾身の一撃を叩き込む。
だが男は、陰陽の夫婦剣でそれを防ぎ押し返す。

「ぐっ…」

声に苛立ちの色が表れる。元々彼女は気の長い方ではないのだ。
不殺の信念で今まで戦ってきたものの、そんなものが通じる相手ではないらしい。

「むっ」

気配を感じ取ったのか、男が身構える。

「いきます、唯閃―――!!」

十字教、仏教、神道それぞれの弱点を補い合うことで、天使をも傷つける絶対の破壊力を生み出す。
天草式十字凄教において彼女の持つ最大かつ唯一無二の術式。それを、

「ハッ!!」

有ろう事か、男は正面から受け止めた。
あまつさえ、それを双剣で巧みに受け流したのである。
だが、防がれても切り札、唯閃は確実に敵の武器を破壊していた。

「「よし!」」

仲間の少年達からも歓声が上がる。勝った、神裂は息を整えながら思った。

「降伏しなさい。まさか徒手空拳で戦うわけではないでしょう」

「ふむ、君の意見は半分正しい。武器が無くては戦えない。だがな、」

言いながら、男は刃が折れた剣を捨てる。
手から離れたそれは、まるで最初から無かったとでも言うかのように霧散していく。
神裂火織が再び男に目線を戻すと、その手には、

「まだ武器が無くなった訳ではないだろう?」

今消えたはずの剣と全く同じ得物が握られていた。

―――Interlude out

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