41:87[saga]
2011/05/22(日) 07:21:43.04 ID:rZ9489cc0
【初春飾利】
垣根さんと話していくうちに、いつの間にか面会時間の5分前にまでなっていた。
それほどまでに、垣根さんと話しているのが楽しかった。
最初は怖くてあまり喋らなかったけれど、いつのまにかこっちがたくさん話をしていた。
……この垣根さんはとても優しくて、たくさん笑っていたからかもしれない。
「なあ、初春」
「なんですか?」
「……ん、もしよかったらさ……また来てくれねえか?」
「えっ?」
「あ、ほらよ。俺、話し相手いなくてさ。……久々に誰かと話せて楽しかったていうか」
垣根さんは照れながら話してくれた。
でも、それは私と同じだった。
またこの人と、話をしてみたいと心のどこかで思っていた。
本当は、こんな風にいい人なのかもしれないと。
「はい。……また来ますね」
「ありがとな」
垣根さんに手を振って、病室を後にした。
最初はとても怖かったのに、どうしてだろう?
また話したいと思ってしまったのは……。
でも、一つだけ。
一つだけ嘘をついてしまった。
ホントは昔、会った事があるのに。
……昨日会ったと喋ってしまった事。
そのことを気にしながら、私は廊下を歩いていった。
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