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2011/05/03(火) 10:19:18.06 ID:X4a4zsMV0
普段より早く起きた私は少し早めに学校にでた。
早めにこの暗い気分を変えたかったからだ。
けれどもう12月だけあって、空気は冷え込み吐く息が白い。
少し明るい空には雲ひとつなかった。
「はぅ……。やっぱり寒いですね」
コートにマフラーを完備してますが、手袋も必要でしたね……。
でも、手袋ってうちにありましたっけ?
……今度買いに行きましょうか。
「うーいーはーる!」
バサァッ! と音とともにスカートが中にまった。
と同時に冷たい風が足に……!
「って、佐天さん!!」
「えへへー。おはよー、初春」
後ろを振り返ると、佐天さんが笑顔で手を振っていた。
あっ、赤い手袋ですか。
温かそうですね……。
「ん? 初春、手が悴んでるよ。ほら、ぬくぬくー」
佐天さんが私の両手を包むように温めてくれる。
温かいです……。
やっぱり、手袋も必需みたいですね!
「ところで、佐天さん。今日は早いんですね」
「うん。今日は日直だしねー。にしても朝早くとかだるいねー」
「今は寒いですもんね。今日も特に冷える見たいですよ」
「うわー。どうりで今日は一段と布団から出られなかったわけだわ」
そんな、たわいもない話をして通学路を歩く。
空はだんだんとなり始め、通学路にも生徒の歩く姿が見え始めた。
みんな、寒そうにしながら歩いている。
「初春も早いじゃん。こんな寒い中よくおきられたね」
「私は……ちょっと悪い夢を見ちゃって」
「悪い夢……?」
再びあの出来事がフラッシュバックされる。
因みに、佐天さんたちには私が風紀委員の活動中に怪我をした。ということしか知らない。
第二位にやられた、ということは言ってない。
そのときはあまり思い出したくなかったし、佐天さんたちも詳しく聞かなかったからだ。
「……夢なんてね。あんまり気にしないほうがいいよ、初春」
「……ですね」
「どうせ夢なんだし! 思い込んでも仕方がないさー! 前向きに行こう!」
「……はい!」
こういうときの佐天さんは凄い。
一瞬で気分を変えさせてくれるのだから。
辛いときも悲しいときも、一瞬で笑顔に変えてみせる。
「ってことで初春。ちょっと日直手伝ってね」
「えっ! それは自分でしてくださいよ!」
こうして、私は悪夢のことなんて忘れていった。
だけどまた、あの悪夢に出会うことになるとは想像もしなかった……。
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