63:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[saga]
2011/05/14(土) 22:16:40.32 ID:/ik76D/i0
一体コイツは何を言っているのだろうか。覗かない、のぞかない、ノゾカナイ?
ははそんなまさか。上条さんは紳士ですよ。紳士。ジェントルマンだ。それも本場の空気を体験している俺はもはや英国紳士と言っても過言ではない。
そんな常に除夜の鐘が頭の中で鳴り響いて、煩悩が無い俺を捕まえて「覗かない?」だなんて、なんと愚かな発言なのだろうか。哀れだといってもいい。
哀れだ。抱きしめたくなってしまうほど哀れ。そもそもどれだけ御坂が可愛かろうとまだ中学生だし、俺は高校生だ。倫理的にも条例的にもアウトである。
ていうか全然タイプじゃないし。俺のタイプは年上で管理人のお姉さんですよ。そう大人しくて大人の余裕があり、それでかつ慎ましく面倒見がいいお姉さんキャラ。
クラスメイトの青髪ピアスの様に異性であればなりふり構わない(いや、アイツはショタもいけると言っていたか)性人とは訳が違う。
繰り返しになるが紳士だ。英国紳士上条。将来はタキシードが似合うツンツン頭を目指している俺が、覗きなどと。する訳がなかろうに。
「えと……絶対に覗かない?」
首を少し横に傾けて顔を赤くして言う御坂。それも少し涙目で。
ううむ。これは……。
……まあ。まあまあまあまあまあまあまあまあまあまあまあ。
ここで「覗くわけがない。だって上条さんは年上のお姉さんがタイプですし」などと返したら地雷を踏む可能性がある。
なぜか俺の本能がそう告げている。
そうだ。御坂も女の子だし、面と向かって「興味がない」というのもいささか酷かもしれない。
ここは一つおだてるという意味でそれらしい言葉を言うのが正解じゃないだろうか。優しい嘘というヤツだ。そこに下心などない。
予め断っておくが御坂の上目使いにときめいてしまったわけではない。これはあくまで演技だ。社交辞令とも言うしお約束とも表現できる。
よしそうと決まったら口を開こうじゃないか。
口を開けば言葉は届くんだ。いい加減始めようぜ上条当麻!
「嫌だ。どれだけ非難されようと、どれだけ罵られようと、俺はやらなくちゃいけないんだ。これは希望なんだ。どうしようもならない世界かもしれない、
仕方がないじゃ割り切れない現実ばかりかもしれない。それでも救いや、光はあるんだ。それは間違いない。お前だって分かってるはずだ。
日常が非日常に変わってしまうのは怖いかもしれないけど、お前ならきっと受け止められる。この幻想はきっと優しいものなんだ――」
「死ねェぇぇえええええええええええええええ!!」
「あべしっ!」
どこで何を間違えたのか。俺は彼女の心に土足で踏み込んでしまったのか。それとも俺の考えが至らない所に問題があったのか。
さっぱり分からない。俺の意思、ましてや世界の意志だ。そしてこの場に立つことのできない者達の遺志でもある。
そこに、一体に、何が。
御坂の電撃を帯びた右ストレートで左頬を貫かれた俺は自分の幻想が壊されていくと共に、たった一つだけ間違いを犯していたことに気が付いた。
映画などでみる英国紳士は、結構エロスに対して貪欲だということに。
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