778:すけこ☆マギカ[sage saga]
2011/07/17(日) 22:38:18.56 ID:utcPm39Ao
喉が渇く、とマミは思った。
杏子がさやかを揺さぶったり、声を掛けたりしている。
「仁美さんも避難してるのかしらね」
「彼女は強いから、大丈夫」
「恭ちゃん、あなた、正気よね?」
「何をおっしゃるウサギさん」
マミは、ごめんなさい、と小さく言って、覚悟を決めた。
「でもね、肌がチリチリするの……」
気配に気づいた杏子が、振り返ると同時、さやかを抱えて飛び退いた。
考えるより先の行動だった。直感は当たり、今いた場所には蠢く薔薇の樹が生えている。ゾッとした。
同じく薔薇、白いつぼみを付けた蔓が、高く跳躍したマミの足下まで伸びる。が、届かずにそのまま萎れる。
そして上条恭子は、地面から生えた金色の槍に、串刺しにされていた。
「さすがマミさん、今度は騙されなかった」
それもダミー。
穴の開いたマントだけが、その場に残る。
巴マミは、呻いた。
着地する。闘え、と頭は警鐘を鳴らす。だが、身体が重い。この後に及んで、恭子を仲間だと信じ、縋りたがっている。
いや、そもそも信じていたか? この少女の登場に、佐倉杏子は安堵していた。己はしなかった。己は疑っていた。
ハッと気づけば、背後に恭子が立っていた。振り下ろされる銃剣を、飛び退いて躱す。
目尻が熱い。身体中が熱い。服の下まで、焼けるように熱い。痛い。敵意の針が、隙間なく突き立てられている。
照準を向けられているのだ。ずっと。
「どうもいけない。僕は、母体に似て感情の抑制が効かない。マミさんのカラダは敏感だから、キツイでしょう?」
ティロ・フィナーレでは捉えきれないと判断し、マミは次々にマスケット銃を喚んでは撃った。
直線的な攻撃をかいくぐり、恭子は螺旋を踊る。
銃剣の切っ先が、光の粒を散らしながら滑る。ホットパンツから伸びる長い脚が、ステップを踏んだ。
地面に、空中に、幾つもの円が描かれる。
立体魔方陣!
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