過去ログ - さやか「きょうこ、きょーこ」
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793:すけこ☆マギカ[sage saga]
2011/08/14(日) 21:06:14.84 ID:bk19XHJXo
 全身を黒で成形したマミ。

 水のようでも金属のようでもある。どろりと油めいた七色を浮かべ、触れる事はためらわれる質感。
 なのに魅力的な甘い香りがする。
 交互に香り立つ、ビターチョコレートとバニラ。

「ふいぎぎぎぎぃぃぃい」

 影と共にこぼれた液体、その黒い水たまりの中で、マミがバチャバチャと暴れた。
 また腹が膨れている。大きく拡げた脚の間、真っ黒に染まったショーツの残骸が引っかかっているのが杏子には見えた。

「やだ、やだ、やだ、たすけげげうあがががががががが」

 のたうちまわる四肢の中心を、影が踏みつける。
 屁のような音が鳴った。
 黒が噴きだす。

 杏子はさやかを抱えたまま、駆け寄ろうとした。
 好いた少女を守りながら、他の少女も助けようとした。

「マミ、今助け……!」

 自分を好きとは言わない女をその手に、自分を好きだと言った女に足を向けた。

「杏子、来ないでぇっ」

 マミの中から飛び出した新たな影が、杏子へとぶつかる。

 もんどりうって一緒くた、倒れた杏子は、自分がまだ、さやかを掴んでいると思っていた。
 腕の中の少女を見る。視線がかち合う。
 瞳も、頬も、鼻も、唇も、髪の先まで真っ黒だった。

 ずギヨ゙、ぎょオ゙ご。

 好きよ、杏子。さやかのカタチをした影は言った。


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