過去ログ - さやか「きょうこ、きょーこ」
1- 20
828:すけこ☆マギカ[sage saga]
2011/11/06(日) 07:45:13.85 ID:p4laV2rSo
 それを勝てない理由というには、弱すぎるだろう。

空豆「二つ。ちょっと考えれば、判っただろうに。夜は、ワルプルギスの夜はまだ、空に在る。……だから、『夜明け』が今ここに居ちゃいけない」

 それは理屈と呼ぶには、ひねくれすぎているだろう。

空豆「三つ。月不見の花の姫君? 『僕ら』は姫君であるはずないじゃないか。何を聞き間違えたんだい?
    ああ、早合点も、美樹さやかの十八番だったものね」

 もはや理論でもなんでもない。
 それを思ったのは、佐倉杏子だった。彼女は、自分を慰める魔法から醒めつつあった。
 肉体より先に意識を取り戻し、かなしばり状態のまま、杏子は魔女のやる事を見ていた。

**「あああああ……」

 オーロラと呼ばれた少女の頬傷が、拡大した。果実の皮を剥くようにすべらかに、──いや、そうではなかった。
 傷から肉が出て、骨が出て、中身が出た。
 中身が骨を、肉を、皮を、覆い尽くした。中身が骨で肉で皮になった。
 内面と外面が、裏返っていた。

「人間なおもて往生す。いわんやインキュベーターおや」

 着流しの少女がわけのわからない事を言って、内面と外面の裏返ったそれを、
 食べた。
 口付けて、啜って、呑み込んだ。

 ヒトがヒトを食べた。
 杏子の喉が、嫌悪にひくつく。
 アレはヒトではないのかもしれないが、ヒトでないにしろ、アイツらは同種だったはずだ。
 同属を喰った。仲間を殺した。禁忌だ。罰の対象だ。糾弾されるべき悪……

(……そんなんじゃ、ない)

 もうそんなものでは、と。杏子は、自身の感情を見定める。
 理由も理屈も理論もいらなかった。理性さえもだった。もうだめだった。手遅れなのだった。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
843Res/753.17 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice