886:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage_saga]
2011/09/18(日) 00:35:20.50 ID:BCoR2CL1o
青年「異教徒の連中との商売を不問にしてやると。
その代わりに上納しろという事だそうだ。
おそらく、人を排除して前線基地に仕立て、
帝国領を切り取る楔に仕立てるんだろう」
眼帯「港で見た限り、石造りの家屋が多かったですね。
なら、石材おおかた搬入済み扱いでいいと考えられる。
あとはそれを奪って、要塞の形に作り替えればいい」
青年「乱暴だが、それなりに効率的だ。
本島は平地が多いから、他の要塞の設計図があれば、
それをほとんど流用出来る」
眼帯「つまり、手に入れれば、
時間のかかる石材の切り出しや、地ならし、
作業員の手配、設計、食料の備蓄と……
要塞に必要なものをほぼ全て、
ほとんど手間無く手に入れられると」
青年「代価は屍の山と赤い海だがな。
いままでリベルタと帝国の通商を見逃していたのは、
この準備をさせるためだったのではないか、
とまで考えてしまう。大穴だが無いとは……」
眼帯「それはありません」
青年「む、なにか掴んでいるのか?」
眼帯「あ、いえ。そういうわけでは。
ただ、普段の教会のやり方を見ると、
そこまで長期的な展望を持って、
厄介な敵になるかもしれないリベルタを、
肥え太らせる事はないだろうなと」
青年「言われてみればそうか」
眼帯「リベルタの公爵家が封ぜられたのは、
随分と昔の事のようですね。
有能な血筋では無かったようです。
高い身分には釣り合わない、
あの小さな島だけが封領という現状は、
借金の代わりに切り取られていった結果だと」
青年「ほう。ちなみにその情報源はなんだ」
眼帯「イチアリアの貴族ですよ。
ディオイツの我が実家と交流がありましてね。
数代前に、公爵に『手を貸して』
お礼として所領をもらったと、
素晴らしい景勝の地に招いてもらいました」
青年「ものは言いよう、か。
そして当時は使い道の少なかった小さな島だけが、
無能な領主とともに海に残されたと」
眼帯「そのようですね。
さほど大きくも無いリベルタという島が、
これほど豊かになったのは、
今代領主になってからと聞き及んでいます」
青年「地の利があったとはいえ、
一身の才覚を以て、あれほどの大交易拠点を作ったか」
眼帯「それを、奪えと」
青年「ああそうだ。譲れと言って聞かなければ奪えと」
眼帯「変わらないではありませんか」
青年「お題目が出来るらしい。
交渉が失敗したからだ、とな。
改心の機会を捨てた者は救えないらしい」
眼帯「そしてその面倒と、血を流す役目は我らのものと」
青年「俺がこの任務に就くことをを断れば、
そもそも交渉の余地無くあの島は蹂躙されただろう。
『交渉成立の証文が無いこと』が、
『大義名分の成立した証になる』ような交渉だからな」
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