930:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage_saga]
2011/09/24(土) 23:38:43.32 ID:Y4SPWTf2o
双子妹「今回渡したその封筒の中には、
古代ローマの失われた”蒸気機関”という技術を、
復元した物であります。
正確には、より利用しやすいように、
自分が手を加えた改良品であります。
効用としては、銅と石炭と水を使う事で、
大きさにもよるものの、
馬の数倍の力を生み出す事ができるものであります」
公爵「馬の数倍か。
だが、釜で火をたきながら、
どうやって馬車が牽けるのだね」
男「それは馬のように自信が動く物では無いらしい。
物を回転させるために使うのが正しい、だったな」
双子妹「そうであります!
馬車の車軸に据え付ければ、
少量……たぶん、の石炭で、
馬より安定して、同じ程度の速度で走れるであります」
男「他にも、船のオールに据え付けてもいい。
ガレー船が遠洋の航海に向かないのは、
奴隷にも、鮭やパンを供給して、
使い潰さないよう休憩をさせなくてはいけないからだ。
だが、これは休憩を必要とせず、
人より強い馬ほどの力でオールを動かせる」
公爵「……ッ。
コレを使えば、海の交易が変わるか」
男「理解してもらえたようだな」
公爵「だが、聞いた話が確かならば、
フリークス・パイレーツだったか、
その船にはこのような機構はつかわれていないな。
それはなぜだ」
男「多少大砲の精度、銃の精度が良い程度なら、
人間の技術で説明出来るが、
噴煙をはき出して目を疑う速度で走る船など、
言い訳のしようがない異端の技術だ。
下手をすれば、全ての港が敵になる」
公爵「なるほど。つまりこれは」
双子姉「実現可能な技術、使用可能な技術。
それでも、つかうわけにはいかない技術、であります。
そして、流出してもいけない技術であります」
公爵「流出させてはいけないというのは、
どういう理由かね」
双子姉「……これは一族の流儀であります」
男「失われてしまった優れた技術を受け継ぎ、
本当の危難のためにそれを保存するのが、
こいつらの役目らしい」
双子姉「再発見されて使われる分には、
かまわないであります。
ふせぎようも無いことであります」
男「だが、その優れた知識や技術が、
今の支配者の手に渡ってしまえばどうなるか。
この、『蒸気機関』の知識は、
船に使う事で海戦の様相を大きく変えるだろう」
双子姉「人の手が届く範囲は広くなり、
拡大政策しかとるつもりのないいまの西洋諸国は
広がった先で戦争をするであります」
男「西側に渡れば帝国を攻撃し、
帝国に渡っても、西側を攻撃するために使う。
少なくとも、コレを流出する事で、
世界は形を変えてしまうだろう」
双子姉「μηδ?ν ?γαν(過剰の中の無)であります」
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