過去ログ - フレンダ「結局、全部幻想だった、って訳よ」
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61:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/05/29(日) 15:16:13.51 ID:zkGAG4J7o
 ――少しばかり時を遡ろう。
 彼女、フレンダ=セイヴェルンが闇へと堕ちてしまったその理由を紐解くために。


 ■   □   ■

                     ・
フレンダ「――ふ、ふれんだ、せいぶぇるん……です。よろしくおねがいします」

 夏休みが明けて、だがそれでも暑さは残り、蝉の鳴いている季節。
 彼らの前に居たのは金色の髪を持ち、そして澄んだ蒼色の瞳を持つ少女だった。
 白や黒、ピンク色のフリルスカートを着せてじっとさせておくと、おそらく人形と勘違いしてしまうだろうレベルの。

先生「みんな、セイヴェルンちゃんは一応日本で育ってるけど両親は外国人なの。だからつい聞きなれない言葉とか喋ったり、日本語自体もなれてないかもしれないけど、仲良くしてあげてね」

 はーい、と元気のいい合唱が教室内に響く。
 先ほど先生が言ったとおり、フレンダは外国人の間に生まれた娘だ。家では両親の母国語、外では日本語を聞いていたことによって今のところ二つの言語を話せる。
 しかし、それならば先程の辿々しい喋り方はどうしてだろうか。
 その理由は至って解明。

フレンダ(……けっきょく、きんちょうしてる……ってわけよ)

 入ってくる前に人っていう字を三回書いて飲み込んだのに、と思う。
 当然といえば当然でもある。日本国内だとはいえ、彼女にとってこの入園が初めてなのだ。
 つまり、こういう幼稚園やら保育園やらの施設に入ることすらも初めて。他の同年代の子と一緒に机を並べるのも初めて。
 この年代の子どもならこんな状況で緊張しないほうがおかしいだろう。

 ちなみに彼女が心で呟いた『結局』だとか『訳』だとか、そういう言葉は父親の口癖だった。
 なんでも彼が習っていた日本人の教師の口癖が伝染ってしまったのだという。
 傍から見ていれば、なんとも不自然な言葉だ。


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