868: ◆IsBQ15PVtg[saga sage]
2012/03/31(土) 10:58:41.54 ID:EPHOFuCM0
直美「でも、なんで急にそんな傷が出来るわけ?」
佐天の指に出来た切り傷と、ほとんど暗くなっている部屋の奥を見比べながら、首を傾げていた。
見たところ、指に怪我をさせるようなもの――例えば、刃物の類とか――は無いようだ。
壁や床がめくれて、鋸状になっている破断面は見かけることはできる。
が、いずれも壁際に立ったり、しゃがみ込まなければ、指で触れるのは無理な位置にある。
先程見た限り、佐天がそんな動作をしていた様子は無かった。
むしろ、目の前の黒い空間のど真ん中に手を突き出して――指を切ったようだから。
佐天「分からないです。その先で、急に光が走ったものですから……」
直美「光?」
怪訝そうな表情で、部屋の奥をじっと見詰める。
その時――かすかに一筋の光が、左から右奥へと走るのが目に留まった。
さらに、じっと目を凝らす。
すると――ぼんやりとではあるが、見えた。
透明な細いワイヤーが、左の側壁から正面の壁の右側に向けて、ぴんと張られているのが。
直美「そっか……あのワイヤーに触れたのね。だったら、分かるわ」
佐天「ワイヤー……ですか?」
直美「うん。あたしもさっき、そんな仕掛けを見たことがあったから。んで……」
話しながら、右手の人差し指を佐天の目の前へと差し出す。
――右の人差し指の腹に、真一文字に走る赤黒い線。
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