757: ◆DAbxBtgEsc[saga]
2011/07/12(火) 04:15:24.71 ID:+6CEjqWDo
・・・
芳川桔梗は今まで相当に気を張っていたため、目の前の自分自身を見ると、気を張っていた自分が馬鹿らしくなっていた。
「それで、何で私……だとややこしいわね。何であなたはここにいるの?」
最も気になる事。何故現れたのか。
研究者としては「どうやって」も気になるのだが、やはりここは「何故」の方が大きい。
この事は芳川桔梗の知るところではないが、そもそもテレビの中の霧が晴れた時初めて影は凶暴化するのだが、
その時でなくとも、基本的には影は宿主から抜け出せるように誘導尋問のような行動に出る。
しかし、
「何でだと思う?」
ニコニコと子供の様な笑みを浮かべながら尋ねる影に、そのような意思は感じ取れなかった。
「……ここがそういう場所だから?」
どうとでも捉えられるような、割とアバウトな返答をしてみる。
「そういう場所ってどういう場所?」
しかし、逃げ道は防がれてしまった!
「なんて言うかこう……自分を見つめ直せよ的な?」
だが芳川は、ある種の正解を叩きだした。
上条当麻を例外として、御坂美琴も9982号も布束砥信も、自分の中に潜む影を見つめ直して、各々の影を受け入れて行ったのだ。
すなわち捉えようによっては、鏡は自身の外見を確認する物とすると、テレビは自身の内面を確認する物であると考えられる。
「ん、まあそんな感じでいいのかな?と言ってもこの世界の定義なんて曖昧だし、正解と思えば正解だし、不正解と思えば不正解なんだけどね。
ようは自分の心次第なんだよ、わかる?」
生徒の疑問を解消するべく、教師はゆっくりと丁寧に説明をするように、芳川の影は教鞭を振るう。
自分の心次第、ならば先ほど適当に挙げた「自分を見つめ直す為の世界」だと仮定すると。
―――なんとなく、わかる。
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