809: ◆DAbxBtgEsc[saga]
2011/07/19(火) 18:16:05.49 ID:RlPjrsIWo
・・・
「……話のスケールが予想以上にデカかった」
半蔵は10032号の語る話を全て聞いて、溜息をついた。
ここまで聞いたからには、逃げられないだろう。
それを踏まえて覚悟があるかどうかを、10032号は尋ねたと言う事か。
「つまり、お前は俺と協力して、一方通行と久々葉ちゃんが何やってんのか調べたいって事だろ?」
「Exactly(そのとおりでございます)」
「あー、ここまで聞いたら、退くに退けないよなあ……」
「だから最初に言ったじゃないですか」
「そんなん、知ってたら初めから退いてたっつーの」
「知ってたら退くに退けないんじゃないですか?」
「そんな鶏と卵はどっちが先に生まれた、みたいな問答は止めてくれ……」
ここからは逃げられんよ。と、噛ませ犬もといトレヴェルヤンの様な口調で半蔵に笑いかける。
半蔵はその笑顔を見て思わずドキッとするが、すぐに平静を取り戻した。
「しかし、ミサカも大概ですが、あなたも中々の物ですよね」
「ん?何がだ?」
「あんな話を信じるだけではなく、一方通行の事も何とも思ってないようでしたから。
と、ミサカは本当にミサカの話を信じてるのか疑います」
「あー、半信半疑っちゃ半信半疑なんだが、こんな所に来てまで嘘をつくとは思えないし、
こうして打ち止めちゃんが眠ってるわけだし」
それでも、一方通行の事が怖くないのか。と言う視線を半蔵に飛ばすが。
「一方通行が今まで何してきたかは知らねえけど、そんな極悪人でも無いと思うぜ?
実際に会って話してる俺が言うんだから間違いないね。こう見えて意外と人を見る目はあるはずだ」
それに、規模は違えど人の生き死にに関わる悲劇なんて、この街じゃたまによくある光景だからな。
と、半蔵は笑った。
「……やはり、あなたも大概ですよ」
「俺を巻き込んでおいて良く言うよ」
一瞬にして、重苦しい空気は和やかなムードへと変貌を遂げた。
「さて、それじゃあ今日のところは一端帰りますか。と、ミサカは連絡先を渡しながら帰宅を促します。
スニーキングは家に帰るまでがスニーキングです」
2人はひとしきり笑いあうと、10032号が帰宅を促した。
「あれ?打ち止めちゃんは?」
どう見ても普通じゃない打ち止めを放っておくのか、と半蔵は尋ねる。
とはいえ、知識も何も無いので半蔵に出来そうな事はないのだが。
「大丈夫です、いずれ保護に来ます。むしろこの状態から動かす方が危険なのです」
どうやら誰かが保護に向かって来ているらしい。
それならそいつが来るまで待った方がいいのでは、とも提案するが。
「出来ればミサカ達が色々と首を突っ込んでる事は隠しておきたいのです。
と、ミサカは誰にも余計な心配をかけさせたくない心中を吐露します」
「成程な……それなら、もう何も言わないさ。俺も色々調べたい事があるしな」
「それなら、誰かに見つかる前に、帰りましょう。と、ミサカはすたこらさっさします」
そして2人は、再び息を潜めて身を潜め、研究所を後にした。
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